元マル暴刑事作家が描く、超リアルな警察小説「ダークリバー」

あまりにも衝撃的な警察小説で、読み終わった後に
ちょっとひいてしまいました。
二上剛さん著「ダーク・リバー暴力犯係長 葛城みずき」。

元マル暴刑事が実体験をベースに描いた問題作です。

大阪市の犯罪多発地域を管轄する警察署。
女性でありながら、暴力犯係の係長を務める、葛城みずき。

独居老人の変死は、表立った外傷がない限り、
事件にはぜず自然死扱いにするらしい。
それを見極めるのは検視官だが、現場から
被害者のカネを盗んでいるとの噂を聞きつける。

さらに、ある警官は、ボディガードと称して
資産家の女性宅に間借りをしていた。
ところが、その女性の遺言状を捏造し
莫大な遺産を奪おうと画策する。

葛城は、そんな彼らの犯行を知りながら、
告発することも出来ずにいた。
組織の中で、それはなかば暗黙の了解の
ようなところがあったからだ。
ヘタに動くと自分の身が危うい。
自分の身を守るために、葛城もやがて警察内部の
暗黒にからめとられ、泥沼に堕ちてゆく・・・。

反社会的勢力と癒着して過程や、警官が罪を
重ねてゆくことになんのためらいも感じない
シーンなど、読んでいるとゾッとする。

著者がその強烈な現場体験をもとに容赦なく、
恐ろしく描く、リアル過ぎる告発的小説。

『ダーク・リバー 暴力犯係長 葛城みずき』
著者:二上剛
出版社:講談社(文庫)
価格:¥760(税別