驚愕のデビュー作!「アルファベット・パズラーズ」

ドラマ化された「アリバイ崩し承ります」の著者
大山誠一郎さんのデビュー作、
「アルファベット・パズラーズ」を読みました。
短編ミステリー4作品。
短編なのに長編のような読みごたえ!
面白すぎる!

マンション「AHM」の住人、警視庁捜査一課
の刑事・後藤慎司、翻訳家の奈良井明世、
精神科医の竹野理恵たちは、マンションの
オーナーである峰原卓の部屋に集い、紅茶を
飲みながら、推理合戦に興じていた。

奈良井の知り合いに富豪の女性がいるが、
最近になって、家政婦に毒殺されると思い込み、
丁寧に淹れていた紅茶を缶入りの紅茶に
変えてしまったという。
精神科医の竹野は、被毒妄想症ではないかと疑う。
ある日その女性に招待され奈良井と竹野は
彼女の家に出かけた。そこには女性と家政婦の
他、親族も招待されていた。
そして、事件は起こる。
件の女性が毒殺されたのだ…。『Pの妄想』

警視庁捜査一課の刑事・後藤は、美術館で
学芸員の男性が殺された現場にきていた。
その現場は最新の指紋照合システムが導入
され、指紋登録者以外は出入りができない。
後藤たちは、登録者の入退出記録を確認するが….。
『Fの告発』

クルーズ船の旅を満喫していた、奈良井と竹野。
そこである化粧品会社の女性社長と出会うが、
その女性が殺害される。その現場には奇妙な
ダイイングメッセージが残されていた。
『Cの遺言』

ある男性の手記に残された、あまりにも悲惨な誘拐事件。
その誘拐事件は未解決に終わっていた。
その手記はWEB上に残され、真相解明を
望みつつ男性は病で亡くなる。
それから数年後、手記を読んだ奈良井たちは、
早速推理合戦をはじめ、本格調査に乗り出す…。
『Yの誘拐』

『Pの妄想』は缶入り紅茶に変えた理由といつ、
いかなる手法で毒殺したのか?
意外過ぎる理由と眼からうろこの毒殺トリックに
驚嘆!

『Fの告発』は途中まで読んでもしかして
この密室トリックはこの手かなと推理したが、
まったく違っていた。緻密に仕組まれている!!
凄過ぎる~。

『Cの遺言』は、ダイイングメッセージの謎に
迫っているけれど、なかなか真相にたどり着けない。
もどかしい。究極のミスリードか?

『Yの誘拐』は、誘拐事件自体が悲劇的!
奈良井たちは、様々な推理を展開するが
どれも納得できない。
どんでん返しに次ぐどんでん返しに
最後は唖然!

緻密に練り上げられた謎とトリック。
それを読んでいるときのワクワク感。
そして鮮やかに謎を解く名推理に脱帽しました。

『アルファベット・パズラーズ』
著者:大山誠一郎
出版社:東京創元社
価格:¥820(税別)