8月になりました。今週からお盆までホラーミステリーをちょっとずつ紹介していきたいと思います。
暑い夏の日の夕方、マンションのベランダで涼みながら読むのに最適なホラーミステリー。
小池真理子さんの『墓地を見おろす家』(角川ホラー文庫)。
あまりの怖さに、買うのをためらってしまった作品です・・・。
かなり前に読んだのに、今でも鮮明によみがえってくるあの恐ろしさ・・・・。
都心で新築、しかも格安という抜群の条件で手に入れたマンションに移り住んだある一家。
緑に恵まれたその地は、驚くことに広大な墓地に囲まれていた。
妻は、一抹の不安を覚えるが、夫はそういうことをあまり気にしていない様子。
しかし移り住んだその日から不吉な出来事が起こり始める・・・・。
かわいがっていた小鳥の突然死、小さな娘が口にする奇妙な話、引っ越し祝いでやってきた妻の妹が気にする隣人の声・・・・。
日常のちょっとした不安程度の出来事があることをきっかけに徐々にエスカレートしていく。
住民が使用する地下の物置で、子供たちが巻き込まれた事件・・・。
不吉な風が吹いた後、娘が足にけがをしたのだ・・。何が原因なのか・・・。
次第に正体を現してくる、悪意ある怪異現象・・・。
その恐ろしさから、マンションを出ていく住民たち。
やがて一家は最悪の事態に襲われる!!
霊媒師も逃げ出すほどの霊がマンションを取り巻いているのか・・・?。
なすすべもなく閉じこめられる一家。
夫婦が抱える不吉な過去、そしてマンション建設の裏にかくされた驚愕の真実。
あってはならないその事実が墓地に眠っていた霊たちを呼び覚ましたのか・・・?
ありとあらゆる怪異現象の描写があまりにもリアルでものすごく怖い!!
土地と人間についた霊が胎動する底知れぬ恐怖を圧倒的な筆力で描ききった、超鳥肌もののホラー作品です。
読んだ後はしばらくの間、夜テレビと灯りをつけたまま寝ていました。
怖すぎて壁側にも近寄れなかった・・・・。
『墓地を見おろす家』
著者: 小池真理子
出版社:角川書店(角川ホラー文庫)
価格:¥560(税別)