警察小説の本道を行く、貫井徳郎『後悔と真実の色』

貫井徳郎さんが山本周五郎を受賞した、『後悔と真実の色』が先月文庫化されました。(幻冬舎文庫)重厚感あふれる、警察小説ミステリーの傑作です。
以前、貫井さんが描かれた『乱反射』で衝撃を受けた、はまさき。この『後悔と真実の色』も面白かったです。

若い女性の人差し指を切り取る、猟奇殺人鬼「指蒐集家」を必死で追う、捜査一課の若きエース・西条輝司。しかし捜査に没頭するあまり、一線を越えてしまい窮地に立たされる。

警察内部で繰り広げられる、男同士の嫉妬と裏切り、そして警察を翻弄する犯人との攻防。
人間ドラマとして非常に面白いし、また丁寧な情景、人物描写は、その人の汗のにおいや、たばこのにおい、また捜査会議の緊迫感、犯人を追い続ける街の喧騒までものすごくリアルに感じられる。また捜査の状況など、非常に緻密に描かれてさらなるリアル感。
物語も2転3転し、いったいどうなる!?西條刑事は・・・?
最後の一ページまで息を抜けないほど面白かったです。

最近、警察小説ミステリーは、ますます面白くなってきています!

『後悔と真実の色』
著者: 貫井徳郎
出版社:幻冬舎
価格:¥876(税別)