翔んでる!?警察ミステリー「相棒はJK」

「巡査長 真行寺弘道」(中公文庫)、
「DASPA 吉良大介」(小学館)
など、社会派ミステリーを描く、
榎本憲男さんの新刊「相棒はJK」は
なんと!女子高生が主人公。
意外な設定にちょっと驚きました。しかし、
キャラクターたちがとても魅力的で面白い。

警察大学校を首席で卒業した、鴨下俊輔警部補。
キャリア組の中でも「超」がつくエリートだ。

警視庁刑事部刑事部長から直々に声を
かけられ、刑事部長直轄の組織・
刑事部捜査第一課特命捜査係へ異動となった。

その係には、数々の難事件を解決した実績を
持つ中心人物がいた。
その人物が鴨下とバディを組むのだ。
鴨下はどんな人物なのかとワクワクしながら
特命捜査係に向かう。
ところが、紹介された人物はなんと!!!
女子高生の花比良真理(しんり)だった。

原理原則に忠実な性格の鴨下は驚愕する。
女子高生が事件の捜査をするなんて、
警察組織がそんなことを許すなんて
言語道断!と納得できない。

こんな刑事を真理はどう思ったか。
彼女は、「この世には二種類の刑事がいる。
ドンな刑事とピンな刑事だ」と言った。
鴨下はどっち・・・・
この例えがめちゃめちゃ笑えた。

しかも特命捜査係のメンバーはどうも
落ちこぼれの集まりのような気がするが・・・。

鴨下は半ば強制的に女子高生とバディ
組まされる。そして超個性的な仲間とともに
女性失踪事件の謎を追うことに・・・。

やがて、鴨下は、捜査の過程で真理の隠された
秘密に気づく・・・。

哲学・宗教的な要素も織り交ぜながら
物語は進んでゆく。
また、随所に榎本節が垣間見られ、
「DASPA」「巡査長真行寺弘道」
の社会派ミステリーに通じるものがあり納得。

警察官として「白黒」はっきりつけたがる
鴨下と、それじゃ救える命も救えないと詰め寄る
真理とのやりとりが印象に残る。

イケメン・エリート刑事と訳あり女子高生
の活躍が斬新!
シリーズ化強く望みます!

『相棒はJK』
著者:榎本憲男
出版社:角川春樹事務所(ハルキ文庫)
価格:¥858(本体¥780+税)