人情キャリア署長が活躍!『署長刑事』第2弾『時効廃止』

前回おススメした、人情に厚いキャリア署長の活躍を描いた『署長刑事 大阪中央署人情捜査録』第2弾は、さらに面白い!『署長刑事 時効廃止』(講談社)です。

大阪中央署の署長・古今堂航平は、ちょっと変わったキャリア署長だ。
人情に厚く、正義の心を持ち、捜査について上から横やりを入れられても、納得するまで調べ上げる。
前回のひき逃げ事件では、一見するとシンプルな事件だが、その裏に隠された複雑な人間関係が絡んだ事件の真相を暴きだした。
そして第2弾『時効廃止』では青年署長とベテラン刑事が活躍する。
彼の周りにはいつしか信頼できる仲間が増えていたのだ・・・・。

ある工事現場で作業員が不運な転落事故で命を落とした。
そのとき彼は、「昔ついた嘘のバチがあたった」と言い遺した。
事故死した男の言葉が気になった、大阪中央署のベテラン刑事・谷は彼の身元を調べた。
彼は、17年前のストーカー殺人事件で重要な目撃証言をした板内という男だった。
板内の目撃証言で、馬木という青年が容疑者として警察に連行された。
そして馬木のアパート周辺から殺害に使われたと思われる凶器ほか、血にまみれた運動靴などが発見されたことで、馬木の容疑が決定的となったのだ。
しかし馬木の妹は、兄は無実だと17年前に捜査を担当した谷に言い続けていたのだ。それが縁で谷刑事と馬木の妹は結婚することになるのだが・・・。
建設作業員転落事故からしばらくして、大阪名物のお祭り‘船渡御’で沸く夜、大阪城外堀で大手警備会社専務の死体が見つかる。
事故か、自殺か?古今堂署長らが調べていくうちに、他殺ではないかということに気付く。
しかしまたしても上から圧力がかかる。そう!その大手警備会社は府警のキャリアたちの天下り先でもあり、社長は公安委員だったのだ。
そしてさらに調べていくうちに、十七年前のストーカー殺人との関連にも気づいたのだ!!

谷刑事の妻への想いと古今堂署長の真相究明の思いが一つとなって、事件の裏に蠢く悪意と真実を暴きだしていく!!

愛嬌ある青年署長と彼をとりまく刑事たちの活躍がまたしても心に沁みる!!読後のさわやかさも加わりいっそう面白さを増す!「署長刑事」シリーズ第2弾!

『署長刑事 時効廃止』
著者: 姉小路祐
出版社:講談社
価格:¥648(税別)