前を向いて生きる勇気をもらえる「神のひき臼出直し神社たね銭貸し」

とっても素敵な時代小説です。
櫻部由美子さん著、角川春樹事務所刊
「神のひき臼 出直し神社たね銭貸し」です。
「出直し神社たね銭貸し」シリーズ第2弾。

人生に行き詰り、やり直したいと願う
人びとのための出直し神社。
神様からの贈り物、たね銭を貸し、
もらった人はそのたね銭で人生をやり直す。
神社を守るのはうしろ戸の婆と呼ばれる老女。
そして、この物語のヒロインのおけい。
不器量だが明るく元気で働き者。
そのおけいが手伝いをしている。

ある日、赤ん坊を背負った千代という娘が
出直し神社にやってきた。婆の問われる
ままに悩みを打ち明ける。
搗き米屋の女将である母親の度が過ぎる
吝嗇ぶりに家じゅうが振り回され、
長く勤めてくれた女中らが辞めてしまったこと。
子守や家のことに忙殺され、手習いに
行けなくなってしまったことを話した。

婆はおけいに搗き米屋の手伝いと子守り
するように言った。
そして、おけいは女中として搗き米屋に
住み込むことになった・・・。

また、お千代が通う手習い処の
お師匠さんには秘密があった。

うしろ戸の婆の神通力や、貧乏神の
閑古鳥。ファンタジックな要素を
背景に、人生に行き詰まった人たちの
物語が描かれる。

約束事を反故にしようとした女将には
衝撃的な出来事が襲う。
そう、因果は巡るのだ。

うしろ戸の婆から預かった、吝嗇家の
女将への伝言。手習い処のお師匠さんへの伝言。
その謎めいた言葉の真相を探るミステリー的
な展開も面白い!

優しさと時に厳しい戒めをも込めた物語。
人情溢れるクライマックスは思わず涙を誘う。

超!おすすめのシリーズ!

『神のひき臼 出直し神社たね銭貸し』
著者:櫻部由美子
出版社:角川春樹事務所(文庫)
価格:¥748(¥680+税)