幸せとは何かを問う。「彼女が最後に見たものは」

小学館文庫「あの日君はなにをした」の著者・
まさきとしかさんの新刊「彼女が最後に見たものは」
を読みました。

三ツ矢&田所刑事コンビ再登場。
事件の真実をひたすら追い求める、孤高の刑事・
三ツ矢の超天然の変人ぶりと優しさが際立った第2弾。

クリスマスイブの夜、50代らしき女性の
変死体が発見される。着衣に乱れがあり、
身元に繋がるようなものはなかったが、
遺体の近くに花柄のショッピングカートと
ハンカチが落ちていた。
ホームレスかと思われたが、
しばらくして、その遺留品から身元が
判明する。
夫婦二人仲良く生活していたが、ある日
夫が事故で亡くなる。夫のいない孤独な
生活を送る女性は、ある日突然姿を消した。

女性の死の一年半前、千葉である男性が
殺害されており、いまだ事件は解決して
いなかった。
ところが、その男性が持っていた遺留品から
女性の指紋が検出された。
犯人は、殺害された女性なのか?

二つの不可解な殺人事件は、予想をはるかに
超えた接点で繋がる。

三ツ矢&田所刑事コンビが点のように
散らばった事実の一つ一つを丹念に繋ぎ
合わせ、やがて一本の線になる。
そして真実が明かされたとき、これまで
見えていた世界が一変するのだ。

夫を殺害された妻と娘の悲劇。
トラック事故を起こし妻に捨てられた男。
うわべの幸せだけ追い求め、崩壊する家族の
姿を丁寧に描くことで、本当の幸せとは
何かを問う。

「あの日、君は何をした」を凌ぐ面白さと
衝撃、そして感動の波が胸を熱くする。

『彼女が最後に見たものは』
著者:まさきとしか
出版社:小学館(文庫)
価格:¥858(本体¥780+税)