第2回双葉文庫ルーキー賞受賞作!『だから僕は君をさらう』

第2回双葉文庫ルーキー賞受賞作、
「だから僕は君をさらう」を読みました。
出版社さん激押し!
心にじわじわと沁みこむような、
究極の「純愛」ミステリーです!

少年時代に起きた事件の影響で、
心に深い傷を負った青年・
守生光星は、日々平穏無事に
暮らすことだけを願いながら
生きている。

守生は、サロンを経営する女社長に
見込まれ、彼女の仕事を手伝いながら
ミュージシャンを目指していた。

そんなある日、自宅近くの墓地で
一人の少女と出逢う。
しかし、その少女は驚くべきことに
守生の父が起こした事件の被害者の
娘だった・・・・・。

運命のいたずらなのか・・・?
少女との出逢いは、守生に人を
愛することの素晴らしさを気づかせる。
しかし、平穏無事に暮らすという願いは
打ち砕かれることに!!!

新たな事件に巻き込まれてゆく二人・・・。

二人が出逢い、やがて惹かれ合う。
前半部分は、ピュアなラブストーリーで
読者の心をつかんでゆく。
しかし、二人の間で起こる些細な出来事が
後に起こる事件の伏線になっていて
読んでいると徐々に心がざわつき始める。

大切な人を守るために彼は何をしたのか!?

あまりにも優しく、そして切ない、
無償の愛の姿・・・。

そして、人はいつでも再生できると
信じられる(著者のメッセージ。)
純愛ミステリー。泣ける・・・。

『だから僕は君をさらう』
著者:斎藤千輪
出版社:双葉社(文庫)
価格:¥700(税別)

切なすぎる青春ミステリー『向日葵を手折る』

版元さんのお薦めで、読ませて頂きました。
初読みの作家さんの作品。
彩坂美月さんの「向日葵を手折る」です。

9月19日放送の「王様のブランチ」で
紹介され注目されています。

美しい自然にあふれた、山形の山あいの
集落を舞台に、一人の少女の4年間の
成長を、丁寧に描いた青春ミステリー。

父の死がきっかけで、母の実家がある
山形の集落に引っ越してきた、小学6年生のみのり。
引っ越したその日に同級生の男の子と出会う。
優しさに満ち溢れた少年・怜。
家が隣同士だったこともあり、みのりと怜は
意気投合する。

怜の親友・隼人は、女の子を足蹴にするような
乱暴な男の子。
みのりは、隼人に何度か忠告するが、
隼人に逆襲されてしまう・・・。

それでも同級生たちと心を通わせ始めた
夏のある日、集落の行事「向日葵流し」
のために植えられていた向日葵の花が
何者かによって全て切り落とされると
いう事件が起きる。

それは「向日葵男」の仕業だと噂された。
そして、みのりの身の回りで次々と
不穏な事件が起こる。

鮮やかに季節が巡る美し過ぎる自然。
ガラス細工のような脆さと真っ直ぐすぎる
正義感を併せ持つ少年少女たちの心の動き・・・。
彼らを見守る大人たちの厳しさと優しさ、
そして、随所にちりばめられた伏線。
その伏線が回収された先に明かされる
あまりにも切ない真相。

緻密に編み上げられた物語。
素晴らしいの一言。

この本に巡り会えて良かったと
心の底から思える1冊。

『向日葵を手折る』
著者:彩坂美月
出版社:実業之日本社
価格:¥1,700(税別)

沈没寸前の豪華客船、女性消防士命がけの救出劇!「波濤の城」

五十嵐貴久さんの女性消防士が主人公の
「炎の塔」がとっても面白かったので、
シリーズ第2作目の「波濤の城」を
読みました。

「炎の塔」は名作パニック映画
「タワーリングインフェルノ」に
インスパイアされて描かれた作品でした。

今回の「波濤の城」は、同じく
パニック映画の傑作と言われる
「ポセイドン・アドベンチャー」から
ヒントを得て描かれた作品です。

大型台風に見舞われ、座礁し
沈没寸前となった豪華客船をさらに
業火が襲う。その極限の中で
繰り広げられる人間ドラマと救出劇!
すさまじい臨場感に圧倒されます!

豪華客船、メモリアル・オブ・レインボー号の
山野辺船長は、巨大台風が迫る中、
カジノ誘致を目論む代議士の要請で
急遽、航路変更を行い強行出航した。

山野辺の思惑は、代議士に恩を売り、
カジノ用フェリー航路の独占、そして、
会社の中で、自分の地位を確たるもの
にしようという自分勝手なものだった。

乗員乗客2,000名の中には、
離婚危機を迎える若い夫婦、
末期がんと診断され家族のために
死を覚悟した男。
組織から、知人の男を殺害するよう命令された男。
小説が書けなくなった老作家夫婦。
船オタクの根暗な青年、
過去の沈没事故のトラウマを乗り越え
られない客室係の男、
そして、銀座第一消防署の女性消防士・
神谷夏美と柳雅代もいた。

大型台風の影響で、激しい雨と
波がクルーズ船を襲う。
そして、深夜、突如異音とともに
排水が逆流、海水が流れ込み、船が
傾き始めた。

しかし、山野辺は頑なにすべての事実
を否定し、航行を続けようとした。
方や、沈没を経験している客室係は
己の判断で乗客の避難誘導を始める。
激怒する山野辺。

その間に、切断された電線から火の手
があがり、船の一部は業火に見舞われる!

神谷と柳は、残された乗客たちと
避難用ボートが設置してある9階へと
逃れようとするが、炎に退路を
断たれてしまう!!!

極限状態の中での人間ドラマが
胸を打つ。
神谷と柳の絶対に諦めない精神が
乗客たちの心に火をつける。
そのシーンがめちゃめちゃ泣ける!

また、船長でありながら己の保身
しか考えない山野辺が許せない!
なんど「バカかこいつ!」
と突っ込んだか知れない。

ベースは「ポセイドン・アドベンチャー」だ。
そして、著者はこれまでの数々の海難事故を
ヒントにこの作品を描いている。
人間の判断ミス、関係者の自己保身で
どれほどの悲劇が生まれるのか?

生死がかかった場面での人間の本当の
姿が描かれている。

手に汗握るパニック小説でありつつ、
人間の生き様を考えさせられる
最高に面白いエンターテイメント作品!

『波濤の城』
著者:五十嵐貴久
出版社:祥伝社(文庫)
価格:¥800(税別)

これこそほんとの前代未聞!「同姓同名」

「超」話題になっている下村敦史さんの
「同姓同名」(幻冬舎)を読みました。

登場人物がほんとに全員、同姓同名
なんですよ!
どうやって区別したの?
それで物語は成立するの!!!?
興味津々で読み始めたら、なんと
面白いのなんのって、計算しつく
された緻密な展開に鳥肌が立ちました!

大山正紀(おおやままさのり)は、
プロのサッカー選手を目指す高校生。
いつか自分の名前が、サッカー
スタジアムに轟く日を夢見ている。

そんな中、女児惨殺事件が起こった。
犯人は、16歳の男子高校生。
少年法に守られ、当然名前は伏せられ
報道された。ところがあまりの事件の
残酷さに日本中が激怒し、名前の公表を
求めSNSが過熱。ある週刊誌が名前の
公表に踏み切った。
その名前は「大山正紀」。

その後、大山正紀はサッカーの推薦枠
をはずされてしまう。
他にも、凶悪殺人犯と同じ名前の名もなき
「大山正紀」たちは、人生を狂わされてしまう。

7年後、刑期を終えた大山正紀が出所した。

そして、犯人逮捕の時以上に犯人批判は
過熱。SNS上では、正義をふりかざす
者たちで暴走し炎上していた。

犯人に名前を奪われ人生を穢された
「大山正紀」の中の一人が
‘大山正紀同姓同名被害者の会’を発足
させた。そして集まったものたちは、
犯人を捜し出そうとする。

興味本位なのか?本当に正義なのか?
SNSによる、情報や言葉の暴力性が
半端なく、それがあまりにもリアルに
描かれているので恐ろしくなる。

凶悪犯人と同じ名前だったせいで
彼らが被った艱難辛苦はどれほどの
ものだったろうか?
一人ではとても耐えられず、
被害者の会を発足させ、少しでも
苦しみを分かち合いたいと思うのも当然だ。

そして、大山正紀だらけで本当に混乱する。
多分、それが狙い????
至る所に張り巡らされた数々の伏線。
(’’’’’)に振りまわされる。
さらに、巧妙なミスリードで、まんまと
著者の罠にはまる!

SNSの恐ろしさにドン引きしながら、
ミステリー小説のとしての面白さを
めちゃめちゃ堪能できました!
こんなにややこしい作品、そうそう
描けないと思います。
それを描いちゃって、さらに
読者を楽しませてくれた
下村さんに拍手!!!

『同姓同名』
著者:下村敦史
出版社:幻冬舎
価格:¥1,600(税別)

心が揺さぶられる、検察ミステリー「地検のS」

伊兼源太郎さんの「事故調」が
あまりにも面白かったので、
「地検のS」も続けて読んだ。

湊川地検を舞台にそこに関係して
いる、新聞記者、弁護士、検事
検察事務官たちを主人公にした
短編集。

「置き土産」
1週間以内に特ダネをあげろと
司法回りの記者・沢村は、上司から
強いプレッシャーをかけられていた。
そんな中、湊川地裁での取材中、
地検の総務課長・伊勢雅行が
法廷を覗く姿を見かける。
陰の実力者と噂される男が、
ありふれた事件になぜ興味を抱くのか?

「暗闇法廷」
面倒な事件を押し付けられた。
暴力団の構成員が起こした保護責任者
遺棄致死罪の裁判で、証人として
呼ばれた男は、森本検事の質問を
のらりくらりとかわし続けた。
森本の検察事務官である新田は、
この裁判を歯がゆい思いで見ていた。
尊敬する森本検事は一体どうなるのか?
そんな時、総務課長の伊勢が声をかける。

「シロとクロ」
両親にも見放された男の弁護をする
弁護士・別府直美。
確かに、男はトラブルメーカーで
これまで何度も警察お世話になっている。
両親からは、刑務所に入れてほしいと
言われる始末。しかし今回の事件に
おいて、男は罪を犯していない。
まっとうな弁護をするべきだと考える
しかし・・・。
苦悩する別府の前に伊勢が現れる。

「血」
DVの夫に息子ともども殺されると
思い、夫を殺害してしまった主婦。
罪を償い出所したあとは、建設
会社の事務員として働いていた。
ところが、ある政治家の政治資金
規正法違反の端緒を握る存在だと
検察に目をつけられた。
担当の検事・相川晶子は、その主婦
から何としても自白を引き出せと
プレッシャーをかけられていた。
しかし、聴取しても頑なな主婦からは
自白が取れない・・・。

「証拠紛失」
政治家の闇献金疑惑に関連し、建設会社の
社長席で発見された重要なメモが紛失
した。総務課長の伊勢から呼ばれた
三好は、そのメモを3日後の会議までに
探し出せと命令を受ける。
同僚とともに必死に捜索するが・・・・。

湊川地検の総務課長・伊勢雅行は
いったい何者なのか?
長年、総務課長の席にあり、湊川地検の
すべてを知る男。
そのすべての事件の裏側には、伊勢がいた。

伊勢の登場によって、苦悩する彼らは
何をつかんだのか?

それぞれの物語の「謎」が解明
された先に思いも寄らない真実
が待ち受ける!

司法に携わる者にとって、本当に
正しい行いとは何か?

彼らが見つけた「正義」に思わず
ハッとさせられる!

元新聞記者が圧倒的臨場感で
描き切った、斬新な検察ミステリー。

『地検のS』
著者:伊兼源太郎
出版社:講談社(文庫)
価格:¥780(税別)

日本初の女性海保潜水士の勇気と挑戦を描く!「海蝶」

「53教場」「警部補・原麻希」「東京水上警察」
「十三階の女」シリーズなど大人気の警察小説
を描く、吉川英梨さんの最新刊
「海蝶」(講談社)を読みました。

女性初の海保潜水士「海蝶」の活躍と成長を描く物語。
2年にわたり、海上保安庁を取材。
この作品を描きたいという吉川さんの並々ならぬ
情熱が伝わってくる、熱い熱い作品です。

中学生の時、東日本大震災で母を失った忍海愛。
父親も兄も潜水士という家庭で育ち、
いつしか、海保潜水士を夢見るようになる。
しかし、父からも兄からも潜水士になることを
反対されていた。

だが、愛は決してあきらめることなく無事に
潜水士となり、周囲の期待に応える。

愛の理解者はただ一人、震災後に母を探し
求めていた時に出会った、海保潜水士・八潮。
チームの中で、唯一愛のバディを引き受けて
くれた。

メディアからも注目された、初の業務は、
沈没した漁船の捜査だ。
乗組員の女性はすでに救助され、愛の父の元で
保護されていた。
しかし、その女性は記憶喪失で
沈没の原因や船の名称などわからず、
海に潜って調べるしかなかった。

ところが、愛は潜水中バディの八潮に連絡する
ことなく勝手な行動をしてしまう。
そして、まだ完全に沈没しきっていない船の中に
閉じ込められてしまうのだった・・・。

男性ばかりの職場で、ただ一人女性が
働くということの厳しさや、そんな職場で
女性に対し戸惑う男性の姿も非情にリアルに
描かれていて、危険が伴う職場での
任務の厳しさよりがいっそう強く伝わってくる。

また、沈没船を巡る謎は、サスペンスミステリー
として読みごたえ満点で、終盤のどんでん返し
には目を見張る!

愛の勇気と覚悟、家族の絆、母の言葉
父の思い、兄の気持ち・・・。
そして潜水士としてのプライド。

読み進むごとに、涙があふれそうになり、
ラストシーンの素晴らしさは言葉にならない。

この本のテーマである「正義仁愛」の
の本質を描いた、この秋最高に感動する傑作。

『海蝶』
著者:吉川英梨
出版社:講談社
価格:¥1,600(税別)

さまよい続ける霊を真実で癒す。「霊視刑事 夕雨子1」

「むかしむかしあるところに死体がありました」で
ミステリーファンの心を鷲掴みした、青柳さんの
文庫新刊「霊視刑事 夕雨子1」を読みました。

霊視というと少しホラーっぽくなりがちですが、
この作品はあまりホラー色が強くなくて、
この世に心が残ってしまい、成仏できない
人たちの霊を癒す物語で、読んでいるほうも
癒されました。

中野署の新人刑事大崎夕雨子は、小さいころから
この世に未練をある霊と会話が出来るという
特別な能力があった。
祖母からもらった色あせたストールを巻いている
時だけは霊の気配は感じられない。

刑事課に配属された夕雨子の相棒は、
本庁の捜査一課から異動になった、
辣腕女性刑事・野島友梨香。
夕雨子は早速パトロールに連れ出された。
野島には何かありそうだ・・・・。

友人が働くエステに行ったとき、ストールを
はずした。そのとたん冷気を感じた。
男性の霊が夕雨子をじっと見ている。
その男性の霊は、夕雨子の友人に殺されたと
訴えてきた。なぜ殺されたか真相が知りたいと。
夕雨子は野島に相談し、早速捜査を開始する・・・・。

ベテラン刑事・シンさんこと杉山信一郎の
同期だった岡沢竜造警部が亡くなった。
夕雨子たちも葬儀に参列。たまたまストール
をはずしていたせいで、岡沢の霊に話かけられた。
岡沢は以前シンさんとラーメン屋の店主が
殺害された事件を捜査した。容疑者と思われる
人物があがったが、証拠がなく結局迷宮入りに
なってしまった。
その事件が気がかりで成仏できない・・。
ということで、野島とシンさんと3人で当時
容疑者だと思われていた男に再度会いに行く。

公園で爆発事件が起きた。しかしそれは序の口で
なんとデパートにも爆弾が仕掛けられていた。
野島と夕雨子はすぐさま現場へ。
しかし、そこには本庁の捜査一課がすでに臨場し、
夕雨子たちは邪魔者扱いされる。特に野島に対する
態度はひどかった・・・。
犯人からはなぞなぞをかけられ、答えを見つけないと
大変なことに!必死になる夕雨子。そこで
デパートのコンシェルジュという女性に声を
かけられる・・・・。

通勤途中でひき逃げ事件の現場に居合わせた
夕雨子は被害者とともに救急車に同乗する。
救急隊員が必死に救助するが、被害者の
男性の霊が現れ、自分は会社に殺されたと
言う。どうしてもひき逃げ事件の真相を
暴いてほしいと頼まれ、夕雨子は被害者の
話を聞くことに・・・。

意外な犯人像、驚嘆する真実、暗号解読
のような事件、心揺さぶられる真相・・・。

夕雨子たちが解決した事件の真相は、
この世に想いを残した霊たちの心を救う。
霊たちの心残りが消えて、光に満たされ
旅立ってゆくシーンは感動的だ。

そして夕雨子と野島のコンビがとても良い!
二人にはそれぞれに抱えた思いや過去がある。
シリーズは始まったばかり。
次回作が待ち遠しい!!!

『霊視刑事 夕雨子1誰かがそこにいる』
著者:青柳碧人
出版社:講談社(文庫)
価格:¥680(税別)

面白すぎる!「エアー2.0」

「巡査長真行寺弘道」シリーズの著者、
榎本憲男さんの「エアー2.0」を読みました。

東京オリンピック開催の2020年が舞台!
著者が予想した2020年はこうなっている?
近未来的経済サスペンス。
真行寺弘道を読んで、いつも凄いと思って
いたけれど、「エアー2.0」も発想が凄すぎて
面白すぎる!

中谷は、新国立競技場の建設現場で、
不思議な老人と出会う。
誰が見てもとても肉体労働が似合うよう
には見えず、なぜこんなところにいるのか
理解に苦しんだ。
やがて老人は首になるが、辞める直前に
大穴馬券を中谷に託した。

そして、老人が辞めた直後に建設現場では
爆発が起こり、馬券は見事に大当たり!

大金は手にしたが、その大穴馬券のバックには
ヤクザがついており、中谷はヤクザに
追われることに!
無事に逃げ切った中谷の前に老人が現れる。

老人が開発した「エアー」。
世の中の空気を読んで数値化し、完璧な
市場予測を可能にするシステム。
そのシステムは国家予算を潤すほどの巨額な
利益をもたらすものだった。
やがて、中谷は老人の壮大な計画に取り込まれてゆく。

大穴馬券が的中したからくり、
不思議な老人とはいったい何者なのか?
そして、老人はこの日本で何をしようとしているのか?
数々の謎を提示しつつ、物語は進む。

それと同時に、破綻しつつある資本主義に
ついて、経済に詳しくない者でさえきちんと
わかるように解説がなされてゆく。

さらに、日本政治の内幕にも鋭く斬り込んでいる!

老人の壮大な計画とは・・・?
エアーシステムの導入で新たな経済システムが
構築されるのか?

読んでいると、ワクワクするような過程が描かれる。
本当にこんなことは可能なのだろうか?
エアーがきちんと稼働すれば、綱渡り状態の
経済システムから脱却できるのではないか?

様々なことを考えさせられ、今回も学ぶことが多かった。

破格の面白さで描かれた、経済小説。

『エアー2.0』
著者:榎本憲男
出版社:小学館(文庫)
価格:¥770(税別)

急転直下!衝撃的すぎる!『紅霞後宮物語 第十一幕』

後宮小説でいま一番ハマっているシリーズの
最新刊、「紅霞後宮物語第十一幕」を読みました。
ありえない展開がもう衝撃的すぎる!

新たな皇族の官吏として登用した茹王。
併せて彼の長女も後宮に入ることになった。
しかし、長女は病死しその代わりに庶子である
妹の茹仙娥を新たな妃嬪として迎えることになった。

文林は、「茹仙娥には手をださない」と
小玉に約束していたのに、茹仙娥が懐妊した。
後宮中は慌ただしい雰囲気に包まれる。

文林は懐妊の件で小玉に弁明に来ることはなかった。
釈然としない小玉。

そんな中、紅霞宮では小玉と女官たちを
謎の体調不良が襲っていた。
療養のため、都を出た小玉たちと入れ替わりに
尚宮の徐麗丹が紅霞宮に入り、原因究明に乗り出す。

姉の代わりに妃嬪として迎えた茹仙娥。
美しすぎる悪女顔に、誰もが疑心を抱いていた。

徐麗丹も、もしかすると紅霞宮の謎の病の
原因は茹仙娥の仕業ではないかと疑ったが、
確実な証拠もなく、じりじりと時間だけが
過ぎていった。

さらに、療養地から都・・・。距離が離れて
いる分、小玉と文林の間の溝も深まってゆく・・・。

また、隣国の寛国皇帝の寵姫である梨妃の
奸計で、康国にただならぬ動きが出始める。
彼女の野心が、文林治める宸国にどのような
影響を与えるのか?

そして、小玉を襲ったありえない事態!!!
思わず本を落としてしまったほどの衝撃!

大波乱の展開になった今作。
十二幕が待ちきれない!

後宮小説の傑作シリーズ!

『紅霞後宮物語 第十一幕』
著者:雪村花菜
出版社:富士見L文庫(KADOKAWA)
価格:¥600(税別)

映画館で映画を観たくなった・・・。『任侠シネマ』

今野敏さんの「任侠」シリーズの最新刊が
出ました!!
「任侠書房」「任侠学園」「任侠病院」
「任侠温泉」に続く、第5弾「任侠シネマ」です!

一本筋の通った任侠道で、数々の組織を
建て直してきた、阿岐本組。
今度は、映画館の建て直しに奔走する!?

阿岐本組組長の弟分・永神がまたしても
仕事を持ってやってきた。
阿岐本組の代貸・日村は心の中でため息をつく。

永神は、映画館の建て直しに力を貸してほしい
と阿岐本に頼み込む。
その映画館は、不動産会社が経営しているが、
映画館の客足が遠のき、営業が難しく
なっているため、閉館しようとしていた。
ところが、その映画館のファンクラブが
閉館を反対しているとのことだった。
不動産会社の社長も、映画館を閉館してしまうのは
残念だと思っているようだ・・・。

阿岐本はその社長に会って話を聞くことに。

社長の話を聞いたあと、阿岐本は日村を誘って
リバイバル上映されていた、高倉健の任侠
映画を観る。
映画館で映画を観るのはいいもんだよな~とつぶやく。
日村は映画館で映画を観たことがなかったが、
健さんの映画にどっぷりはまってしまった。

映画館は素晴らしい。建て直すところはない。
では何が問題なのか・・・・?

この問題を解決したのは、今までパソコンに
しか興味がなかったテツの言葉だ。
テツは不器用な言葉で阿岐本や日村に訴えかける!
このテツの言葉が心を打つ!!!
素晴らしい!泣ける!思わず泣いた。
「形だけのイベントなんてやっても人は集まらない。
やっている人が楽しいと思わないとだめなんだ!」

いつものように、やっぱり悪い奴は登場するが、
今までの任侠シリーズと一味違う「任侠シネマ」だ。

また、暴対係なんだけど頼りない甘糟刑事が
今回はちょこちょこ顔を出す。
新しい係長が非常にヤクザに厳しいのだ。
お店にヤクザと関わるなと過度な指導をしたせいで
阿岐本組の面々はご飯にありつけない。
配達してもらえないからだ。
そんな中でも、阿岐本組に世話になった大将たちが
新参者の暴対係の係長など無視して配達してくれる
シーンはじ~んとする。

やっぱりこのシリーズはほんとに面白い!
どのシーンも爽快な気分にさせてくれる。
そして、読み終わった後、無性に映画館に
行きたくなりました。

『任侠シネマ』
著者:今野敏
出版社:中央公論新社
価格:¥1,500(税別)