恐怖の衝撃波が凄い!「とらすの子」

注目作「ほねがらみ」(幻冬舎文庫)「異端の祝祭」
「漆黒の慕情」(いずれも角川ホラー文庫)
に続く、新進気鋭のホラー作家・芦花公園さんの
最新作「とらすの子」(東京創元社)を読みました。

想像を絶する展開に、開いた口がふさがらない。
なんとも言えない、ヤバい怖さが充満している!

怪しげなオカルト雑誌のライター・坂本美羽は、
編集長から、都内で発生している、無差別
連続殺人事件の取材をし、記事を書けと
無理やり押し付けられた。

そのニュース記事はネットにあふれている。
被害にあった人たちは、みな無残な
死体となって発見されている。

気持ち悪い。なんでこんな事件を・・・・と
美羽は思った。しかし、編集長にNOと言えば
首になるかもしれない。

しぶしぶ引き受けた美羽。絞り込んだ検索
キーワードに反応があった。
美羽は「都内無差別連続殺人事件の犯人を知っている
助けてください」という書き込みを見つける。

早速連絡し、取材に出かけた。
そこにいたのは、少女だった。

彼女が語った「とらすの会」。
みな優しくて、家族みたいで居心地がよかった。
その中でも「マレ様」は嘘みたいに綺麗で、
熱心に悩みを聞いてくれて、さらに抱きしめて
くれる。
だが、〈会議〉と称される告白会では、
誰かがマレ様に「許せない人」への恨みを訴える。
その会に参加していた人たちが口々に煽ると、
翌日、その「許せない人」は死体で見つかる。
それが怖くて「とらすの会」に行かなくなったら
裏切者と責められた。私も殺される!と

錯乱状態に陥った少女は、美羽の目の前で
突如、爆発するように体がバラバラになり
死んでしまった・・・・。

美羽は、スクープを狙い、「とらすの会」に
潜入する。

人を恨む、憎む、それが高じると、殺戮も
厭わなくなる。
大きく深い「恨み」を持った人間の恐ろしさ
が浮き彫りにされている。

眼をそむけたくなるような「殺戮」を繰り返す
「マレ様」と、「とらすの会」の謎に迫る
カルトホラー。

結末がどうなるのか?気になって、最後まで
イッキ読み。

この夏、最凶のホラー作品が登場した!

『とらすの子』
著者:芦花公園
出版社:東京創元社
価格:¥1,760(¥1,600+税)