史上最年少受賞!第68回江戸川乱歩賞受賞作「此の世の果ての殺人」

第68回江戸川乱歩賞受賞作は「此の世の果ての殺人」
著者は、なんと23歳の女性。乱歩賞史上最年少での受賞。

さらに内容は、人類滅亡を数か月後に控えた
日本で殺人事件が起き、女性二人が事件の謎を
解いてゆくという斬新な物語。

2022年残暑、小惑星が熊本県阿蘇郡に衝突
すると発表された。
衝突まで残された時間はわずか半年。
人類滅亡がほぼ確定された中で、人々は
衝突地点から少しでも遠ざかろうと
大移動を始めた。
世界中で大パニックが起こっていた。
日本もそのそのニュースに衝撃を受け、自殺
する人が大量に出た。
そして、街からは人々が消えた・・・。

小春はある目的のために、自動車学校に
通っている。両親は自殺してしまった。
道端には、死体が転がっている。
食物を置いている店は、荒らされ何も
無くなっていた。
小春の家はコンビニを営業していたため、
人類滅亡のニュースを聞いた父親が
食物を貯めこんでいたので、小春は食べ物には
困っていなかった。

自動車教習所の女性教官も、逃げださず、
なぜか小春の指導をやってくれる。
そんなある日、教習車のトランクの中から
メッタ刺しにされた女性の遺体が見つかった。

教習所の女性教官は、元警察官だった。
小春は彼女と二人、管轄の警察に通報に向かった。
そこで、同様の手口で殺人事件が各地で起きている
ことを知る。

此の世の終末に、殺人を楽しんでいる奴がいる!?

理不尽この上ない殺人鬼に対し、警察官魂に火が付き、
激しい怒りを感じた元女性警察官。
絶対に許さない・・・その思いで、小春と二人
事件を追って移動を開始する。

街から人が消える、自殺者の死体が転がっている・・・。
スーパーやコンビニからは食べ物が強奪される。
此の世の終わりの街の描写があまりにもリアル。

移動を続ける中で、逃げ遅れた人々との繋がりも
出来るが、心が壊れてしまった人もいる。
社会生活を営む上でのルールが崩壊したとき
人はどこまで壊れてしまうのか?
どこまで、醜い本能があらわになってしまうのか?
想像を絶する展開が続く。

そして、小春と女性教官、その仲間たちが
調べあげた事実を積み重ね、事件の謎をロジカルに
解き明かしてゆく。
その真相とは・・・・!

圧倒的筆力で描かれる此の世の終焉!
驚くべき斬新な設定、魅力的な登場人物、
ロジカルに解明される謎。
凄すぎるパワーとインパクトで迫る!
その面白さがこれでもかと堪能できる

『此の世の果ての殺人』
著者:荒木あかね
出版社:講談社
価格:¥1,815(本体¥1,650+税)