大切なものを守る!凄腕の殺し屋の闘いを描く「アイアン・ハウス」

ジョン・ハート「アイアン・ハウス 上下」
(ハヤカワ文庫)読了。

凄腕の殺し屋・マイケル。そんな経歴を持つ
男が平凡な幸せを掴むことが出来るのか?
心の震わす、男の闘いが描かれる。

親に捨てられたマイケルと弟のジュリアン。
彼らは孤児院に預けられた。
二人にとってそこは地獄のような場所だった。
兄・マイケルは強靭なメンタルで生き抜いて
いたが、弟のジュリアンは小さくて弱気だ。
そのため、悪ガキたちに目をつけられ虐め抜かれ
精神を病んでしまった。
そんなジュリアンは孤児院でとんでもない事件を
起こす。マイケルはジュリアンの事件を
隠蔽し脱走。ジュリアンは上院議員夫妻に
引き取られた。

その後、マイケルは凄腕の殺し屋になっていた。
ボスに忠誠を誓っていたが、美しい恋人・
エレナの妊娠を知り、組織を抜けたいと
ボスに訴えた。瀕死のボスはマイケルの
幸せを考慮し、組織を抜けることを承諾する。
ところがボスの息子と手下のジミーはそれに反対。
マイケルは組織から追われることになる。

マイケルの経歴を知らなかったエレナは、その事態に
衝撃を受け、マイケルとの関係に心が揺れる。

組織からの逃亡を続ける中、ジミーらは
エレナとジュリアンをもターゲットに!

マイケルはエレナとともに上院議員の
邸宅へと向かう。
上院議員夫人のアビゲイルが彼らを匿うと言った。
ジュリアンは作家となり成功を収めていた。
しかし、ジュリアンは何かに怯え、マイケルと
会ったときは彼のことさえ認識できないでいた。

そして、邸宅で無惨な死体が見つかる。
その死体は孤児院でジュリアンを虐めていた
連中の一人だった。
まさか、弟が犯人なのか・・・・!?

恋人・エレナ、大切な弟ジュリアン。
そして弟を本当の息子のように愛する
上院議員夫人・アビゲイル。
マイケルは彼らのため、そして殺人容疑を
かけられたジュリアンとアビゲイルを救うため、
死地へと向かう。

冒頭から凄まじいアクションシーンの連続と
怒涛の幕開け。
ハードボイルド的展開、殺人事件の謎を追う
ミステリー、そして家族、恋人を想う
「愛」の物語でもある。

ハートを射抜かれること間違いなしの
最高に面白い海外傑作ミステリー。

『アイアン・ハウス 上下 』
著者:ジョン・ハート/東野さやか訳
出版社:早川書房
価格:上下¥935(本体¥850+税)