比嘉姉妹シリーズ初の中篇集!「さえづちの眼」

霊能者・比嘉姉妹が登場するシリーズ。
今作は中編が3篇が収録されている。
どの作品も読むとゾワッと背筋に
戦慄が奔る。

貧しくて諍いの絶えない両親。母親からの呪縛。
それに耐えきれず、犯罪に手を染めるように
なったタクミは、フリースクール
「鎌田ハウス」に預けられる。
子どもたちからおっさんと呼ばれる
男にタクミは次第に心を許し、成長してゆく。
ところが、ある日タクミはおっさんと
「鎌田ハウス」の秘密を知る。
恐ろしい何かが憑いたこの家で子どもたちを
襲うものとは何なのか・・・!?
タクミを助けて欲しいと、比嘉真琴に依頼
してきた少女はかつて真琴が助けた少女だった・・・。
【母と】

子どもの頃にUFOを見たと証言した男の子二人。
当時、雑誌やテレビ取り上げられ、町も
彼らも有名になった。巴杵池(はぎねいけ)事件。
その男の子の一人は大人になり、母と一緒に
旅館を経営していた。ある日そこへ子供つれの
母子が宿泊する。
もう一方の男は、その事件を根に持ち旅館に
やってきて大騒ぎをした。
その翌日、巴杵池で男の死体があがった・・。
当時のUFO事件の真相は、想像を絶するもの
だった。
【あの日の光は今も】

昭和30年代、町の大きな屋敷・架守(カガミ)家に
やってきた家政婦は、その家で起こる奇々怪々な
出来事を家政婦紹介所の所長あてに手紙で送っていた。
廊下に響く何かのはい回る音、深夜に光る赤い目、
やがて架守家の一人娘が失踪。
数十年後には当主が不可解な言葉を残し絶命。
この家は何かに祟られていると感じた
若き当主は、架守家への祟りを鎮めるために
霊能者・比嘉琴子に依頼する。
【さえづちの眼】

得体の知れない強烈な悪意を放つ者と
比嘉真琴との壮絶なバトルシーンが
圧倒的迫力を持って描かれる!

UFO事件の裏にあった予想外の真実。
男性の遠い記憶から当時の事件の
真相に迫る、ミステリー。真実が徐々に
明かされる過程の推理が際立っていると思った。

これは完全にホラーだと思って
読んだら完全に騙される。
人間のどす黒い闇と比嘉琴子の駆け引きが
たまらなく面白かった。

『さえづちの眼』
著者:澤村伊智
出版社:KADOKAWA(ホラー文庫)
価格:¥836(¥760+税)