「写楽」とは誰か!?謎に迫る美術ミステリー。『写楽 閉じた国の幻』

2011年度版『このミステリーがすごい』で国内編第2位にランクされた、島田荘司『写楽 閉じた国の幻』(新潮社)が先月文庫化されました。
‘写楽’とはいったい誰なのか?
浮世絵師‘写楽’の数々の謎に迫る、島田版‘写楽論’。
緻密な推理で解き明かされる、究極の美術ミステリー。

浮世絵研究家の佐藤は、一人息子を事故で失い、さらに家庭崩壊の危機にある。
佐藤は、ある肉筆画から興味深い発見をする。苦悩の日々の中、‘写楽’の謎にとりつかれていく・・・。

‘写楽’・・・。江戸時代わずか10か月あまりの間におびただしい数の肉筆画を残し、忽然と姿を消した謎の浮世絵師。‘写楽’と共にその時代を生きた文化人たちは、‘写楽’が何者だったのか誰一人知らない。
歴史上に遺されたのは‘写楽’の絵画のみ。‘写楽’については膨大なる「謎」のみが遺された・・・。

物語は、現代の佐藤が必死になって‘写楽’について調べていくエピソードと、江戸時代の‘写楽’にまつわるエピソードを交互に描いて、‘写楽’の謎に迫っていく。
粋な江戸の様子が生き生きと描かれている。現代の佐藤のエピソードとは対照的。
これがこの作品の特徴的なところで、読んでいるとなんとも不思議な感じ・・・。

歴史上の「迷宮事件」とされてきた‘写楽’の正体。
構想20年。膨大な資料から、ミステリー界の巨匠・島田さんが緻密な推理で導き出した‘写楽’とは?!

長編だけど、読み応えたっぷり!ミステリーの好きな人、歴史好きにはたまらない!‘写楽’が誰なのか知りたい人!ぜひ読んでみてください。凄く面白いですよ~。

『写楽 閉じた国の幻 上下』
著者: 島田荘司
出版社:新潮社
価格:上下各¥670(税別)