今!話題!池井戸潤さんの最新刊はいきなり文庫で登場『ようこそ、わが家へ』

ドラマ『半沢直樹』が評判らしく、その原作、池井戸さんの『オレたちバブル入行組』が注目を浴びています。
このタイミングで、池井戸さんの新刊がいきなり文庫で発売されました。乱歩賞受賞後しばらくはミステリーを描かれていたのですが、最近では中小企業小説がメイン。
実は私はミステリーも中小企業小説どちらも大好きなんです。
そして最新刊の「ようこそ、わが家へ」は池井戸さんが得意とする、銀行、中小企業をキーワードに久々にミステリー小説に徹しています。
『ようこそ、わが家へ』、タイトルはとても平和そう。でもこの作品、実は恐い小説なんです。
(本の学校今井ブックセンターで多面展示しています。)

平凡なサラリーマン・倉田は、ある日電車で無理に割り込みをしてきた乗客に注意をした。
元来気の弱い倉田は、普段は絶対にそんなことはしない。
しかしなぜかこの日は放っておけなかったのだ。
しかしそれが悪夢の始まりだった。
平凡なサラリーマンを突如襲った恐怖、エスカレートするいたずら。倉田は息子と協力し、その男を見張ることにする・・・・。
一方、倉田はまじめが取り柄の銀行マン。今はある中小企業の総務部に部長として出向中だ。
出向先の会社になじもうと日々頑張っている。
そんなある日、部下の女性から2000万円分の品物が行方不明になっていると報告を受ける。
倉田は不審に思い、営業部長に確認するが迷惑そうにされ何かの勘違いだと言われる。
しかし仕事ができる部下からの報告だけに、引き下がることが出来ない。
翌日再度確認するとそれらしき荷物が出てきたのだ。部下の女性も驚きを隠せない。
絶対にこんな荷物はなかったのに・・・。倉田は部下の女性を信じ、調査を開始する。

まじめだけが取り柄の平凡なサラリーマンを襲った非日常。しかし倉田は勇気をだして解決しようと一歩を踏み出す。さらに会社では、営業部長の画策で倉田の立場が危うくなっていた。
家族を守るため、銀行マンとしてのプライドを守るため、倉田は真正面からぶつかっていく。

人には必ず人生に最低1度は逃げずに死ぬ気でぶつかっていかなければならない時がある。
倉田はまさにその時に直面したのだ。ここだと腹を括った倉田がかっこいいです。
このシーンのためにこの小説の全てがあったのではないかと思ったほどです。
そしてストーカー事件と会社で起こった事件の全貌はどちらも予想だにしない結果です・・・!
ミステリー小説としても謎解き過程がすごく面白かった!

この作品がいきなり文庫で読めるなんて!贅沢過ぎます。

『ようこそ、わが家へ』
著者:池井戸潤
出版社:小学館
価格¥695(税別)