ドイツの凄いミステリー小説発見!「白雪姫には死んでもらう」

読み終わったあと、思わず「面白かった~」とつぶやいてしまった。
北欧ミステリーもかなり面白い作品がありますが、ドイツのミステリーも
凄いです。人間描写が半端なく凄い!

白雪姫

11年前に、ドイツの小さな村で起こった、少女連続殺人事件の犯人として
逮捕された青年・トビアスは刑期を終え故郷に戻ってきた。
そんな頃、空軍基地跡地の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。
検屍の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者・ラウラだと判明。
トビアスは、村に戻り、父親と再会を果たす。トビアスが
犯人として逮捕されたことがきっかけで、父親は母親と離婚し、
繁盛していたカフェを閉め、農場の手伝いをして生活していた。
みじめな有様になった、父親の姿を見てトビアスは
自分が冤罪だったことを村の人たちに再度アピールした。
だが、トビアスは何者かに暴力を振るわれ、離れて暮らす
母親は、歩道橋から突き落とされてしまう。
しかし、トビアスが村に戻ったことで、11年前に起きた
事件の真相が徐々に明らかになっていく・・・・。
捜査にあたるのは、主席警部・オリヴァ―と同僚の警部・ピアだ。
刑事の二人もプライベートでは問題をたくさん抱えている。
特に主席警部・オリヴァ―は、妻の不倫を疑い、悩み続けていた。

この作品は人間描写がとても強烈だ。
二人の刑事を始め、個性的な村人たちが多く登場する。
村を牛耳るテアリンデン家、傲慢な女医と文化大臣の夫。
テアリンデン家の双子の息子たち。
トビアスの幼馴染で女優のナージャ。美しい高校生・アメリー。

11年前に起きた事件は、現在の事件を引き起こす。
それは、人間の果てしない欲望、傲慢さ、激しい嫉妬心から
引き起こされるもの。村人たちが自ら保身に奔り
罪なき人たちを陥れていく。
人間はどこまで冷酷になれるのか?
どこまで薄情になれるのか!?

このおぞましい事件の真相をオリヴァ―とピアたちは
白日のもとに曝すことができるのか!?
「白雪姫」とはだれのことなのか!?
読み出したらとまりません。ドイツ人の名前はなかなか
覚えられませんが、そんなこと気にならないくらい
面白いミステリーです!!

『白雪姫には死んでもらう』
著者:ネレ・ノイハウス著/酒寄進一訳
出版社:東京創元社(文庫)
価格:¥1,300(税別)