「警視庁殺人分析班」第2弾は推理が際立つ!

「警視庁殺人分析班」シリーズ第2弾が文庫化されました。
第1弾「石の繭」は圧巻の事件!犯人と直接対決した、主人公・如月塔子の勇気に
感動!ハラハラ・ドキドキの連続でした。

このシリーズは、警視庁刑事部捜査一課十一係のなかでも門脇警部補が
呼びかけた五人の仲間が、飲みながら事件の行方を推理するという
ちょっと変わった警察小説。
彼らが自称する「殺人分析班」の活躍が読みどころ!

第2弾「蟻の階段」はまさに‘推理する事件’。

蟻の階段

変死体発見の通報を受けて、門脇以下、いつものメンバーが
事件現場に到着。だがその現場は非常に奇妙だった。
頭蓋骨に白い花、掛け時計にスープ皿。
テーブルの上の惨殺遺体を囲むように置かれた謎めいた
品々・・・。絵画を模したかのような現場を作り、
さらに、「過去の亡霊」を名乗って、元警察官の
自宅に電話をかけてきた犯人。
犯人の意図が読めない。
犯人は何者なのか?過去に加賀見が逮捕したことがある
男だというが・・・・。
如月塔子ら、殺人分析班のメンバーとさらに警察OBの加賀見も加わり、
事件の行方と犯人を推理する。

絵画を模した奇妙な現場が出てくることから、
美術についての記述がとても興味深かった。
絵に興味があれば面白いと思う。

如月ら殺人分析班の推理によって暴かれた真実。
犯人の歪んだ想いが、猟奇的殺人へと導いた。

シリーズを読み続けていくと、主人公・如月塔子の
魅力にはまる。一見、平凡な26歳の女性だ。
しかし、彼女に見えているのは、きっと人間の
心の奥にある‘何か’だ。
そこの部分を救い上げる周りのメンバーも良い感じで
描かれていて、誉田哲也さんが描く、
「ストロベリーナイト」の姫川班とはまた違う味がする。
日本の警察小説にまた新たなヒロイン誕生が嬉しい。

このあと続々文庫化予定。

『蟻の階段 警視庁殺人分析班』
著者:麻見和史
出版社:講談社
価格:¥660(税別)