超変化球の恋愛小説「プリズム」

2012年の本屋大賞10位にランクインした、
「プリズム」、変幻自在に作風が変わる百田尚樹さんの作品です。
文庫化されました。

「プリズム」と「モンスター」は実はお互いが
‘対’になっている作品だと百田さんは語っておられます。

「モンスター」は、生まれたときから顔が変形し、
周りから‘モンスター’と呼ばれた女性が、生死をかけ
整形を繰り返し、絶世の美女に変貌。
恋焦がれた男性の心を振り向かせるというストーリー。
美に対する凄まじいまでの執着と現代の整形技術の凄さに驚愕した。
「プリズム」は、女性が出会ったある男性。しかし彼はどんなに
愛しても逢うことがかなわない人だった。その理由が哀しい。

プリズム

世田谷にある旧い洋館に家庭教師として通うことなった聡子。
小学4年生の修一とは打ち解け、順調に仕事をこなしていった。
ある日、屋敷を散策中に、屋敷の離れに住む謎の青年と出会う。
その青年は逢うたびに全く違う振る舞いをする。時には攻撃的に
時にはプレイボーイに、そして時には知的で穏やかな紳士。
そんな青年だが、聡子は次第に打ち解けてゆく。
だが、屋敷の人間はその青年について、なぜか固く口を閉ざすのだった・・・。

謎めいた青年。彼には哀しい秘密があったのだ。
青年の一言「僕は、実際には存在しない男なんです。」
それを知った聡子は、自分が彼に惹かれ初めていることに気が付く。

どんなに愛しても決して結ばれない・・・。
究極の純愛物語を、現代社会の病理をテーマに描く、
今までいない、恋愛ミステリー。
青年の正体が徐々に明らかになる過程は、まさに謎解きの極致!

『プリズム』
著者:百田尚樹
出版社:幻冬舎
価格:¥690