ぞわぞわ~っと鳥肌が・・・「どこの家にも怖いものはいる」

刀城言耶シリーズや、ホラー小説で人気の三津田信三さんの
最新作、ホラー作品「どこの家にも怖いものがいる」を
この夏読みました。
タイトル通り、「家に何か不気味なものがいて怖い」と
いうテーマ。
たまに家が軋むことがあるけど、もしかしてそれって怪現象・・・?
と思ってしまうほどリアルな描写に参ってしまいました。

どこの家にも怖いものはいる

ホラー作家・三津田信三は、出版社のある編集者から
もたらされた5つの怪談話に興味をそそられる。
時代も場所も定かではないが、それらの家で起こった
怪奇現象から何らかのつながりがあるのではと疑問を持つ。

ある家に引っ越してきた若い家族。
しばらくすると、幼い娘が奇妙なことを言い出した。
壁の中に誰かがいると言うのだ。
その誰かとはキヨちゃん。
娘は毎日キヨちゃんと遊んでいると言った。
さらに、雨でもないのに、ザァ~ザァ~と音がする。
そしてある日、娘と遊んでいた近所の男児が行方不明に
なってしまう。「向こうからくる 母親の日記」

昭和初期?神隠しや、物の怪が本当にいると信じられて
いたころ。
主人公の少年は友達との遊びに夢中で、
「入らずの森」へ踏み込んでしまい、
その森で「割れ女」に出会ってしまう。
たまらず少年は、不気味な屋敷、
「晨鶏(しんけい)屋敷」に逃げ込んでしまう・・。
「異次元屋敷 少年の語り」

ある大学生が、格安物件のアパートに引っ越してきた。
あまりの安さにうきうきし、格安の理由を聞かずに
入居してしまった。
そのアパートは入居者数が極端に少ない。
大学生と隣に一人暮らしの女性、向かいの男性。
真下の男性くらい・・・。
で、夜中に妙な音が響き始めた。
しかも屋根の上から・・・
不気味に感じた大学生は少し調べてみることに。
「幽霊物件 学生の体験」

新興宗教の教祖のようになってしまった母親から
再三にわたり、こちらの家にくるようにと言われる、女性。
しかし、女性は母親が急激に変わり、母を連れ戻そうと
迎えに行った父や姉が軟禁状態にある家には決して
近づきたくなかった。
だが幼い弟まであの家に囚われてしまった。
女性は、弟を助け出すためについにあちらの家に
行くことを決心する。
訪れたその家で女性が発見したものとは!
おぞましい惨状に眼を疑う!
「光子の家を訪れて 三女の原稿」

そして最後の「老人の記録 或る狂女のこと」が
上記の4つの記録の原因になっているのでは?
著者と編集者は結びつけようとするが・・・・
あるとき某家の当主の年の離れた13歳の妹が
行方不明になった。
神隠しが頻繁に起こっていた時代・・?
だが、その妹は一週間後に発見された。
そして身ごもっていることがわかった。
お腹が大きくなるにつれ頭がおかしくなっていく妹。
とうとう到頭蔵に入れられてしまう・・・。
そして生まれた女の子は、心身ともに強い障害を持っていた。
さらに、成長するにつれ化け物のようになっていった。

5つの話は、何かのキーワードで繋がっている。
そしてその「土地」と「家」に因縁があり
怪異現象が起こっているのでは?
ならばその土地と家はどこに・・・・
5つの怪談話も怖いが、著者と編集者が
繋がりについて推理していく過程がリアルで怖い。

ちょっと変わった構成になっているので、面白い。
でも、夜中に目覚めると本の内容を思い出して
少しでも音がすると緊張して眠れなくなります。
ご注意。

『どこの家にも怖いものはいる』
著者:三津田信三
出版社:中央公論新社
価格:¥1,600(税別)