ルース・レンデルの作品はあまり多く読んでいないけれど、
この「ロウフィールド館の惨劇」を読んだ後の
衝撃は忘れられない!
追いつめられた人間がいかに恐ろしいかを、サスペンスの女王
と言われたレンデルが、丁寧な心理描写で描く傑作!
ユーニス・バーチマンは、有能な家政婦だ。
だが彼女に絶対に人に知られたくない秘密があった。
彼女はその秘密が奉公先の家族に知られ、家族全員を惨殺する・・・。
彼女の仕えるカヴァデイル家は、典型的な英国の支配階級だ。
有能なユーニスは家族から信頼されていた。
だがユーニスは自分の秘密がいつばれるかと心配し、
日々追いつめられていた。
そんな時に出会ったジョーン。
ジョーンを嫌悪しながらも、奇妙な友情を築く二人。
ユーニスはジョーンと出会ったことで、次第に
今まで耐えていた負の感情が表に現れるようになる・・・。
そして、ささいなことがきっかけで、ユーニスは凶行に及ぶ!
彼女の凶行の動機は今の日本では考えられないもの!
その動機を著者は冒頭で暴露している。
しかし、冒頭の衝撃が過ぎ去ると、いかにその秘密を
隠し、家族の中で演技をしていたのか?がぜん興味が
わき、夢中で読んでしまう。
冒頭の動機と凶行から遡って読んでいくと、ユーニスが
いかに壊れて行ったのか?また、人間が壊れ行く過程が
丁寧に淡々と描いてあり、とても恐い。
海外ミステリーの醍醐味が味わえる、さらに衝撃の
展開は読みだすととまらないいっきに読める
超!傑作!
フランスで映画化されている。
『ロウフィールド館の惨劇』
著者:ルース・レンデル
出版社:角川書店(文庫)
価格:¥552(税別)