リアル過ぎる!介護がテーマのミステリー「ロスト・ケア」

葉真中顕さんの作品、続けて読みました。
「絶叫」があまりにも凄いインパクトだったので、
他の作品も読みたくなりました。

第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作!
2014年版ミステリが読みたい!国内編第5位!
2014年版このミステリーがすごい!国内編第10位!
デビュー作ながらすごい冠がついている
「ロスト・ケア」(光文社)
を読みました。

とにかく、凄いです。
「介護」「老後」という誰もが経験するであろう
テーマ。絶対に避けては通れない!
読まずにはいられない!
多分「絶叫」以上に心にグサグサっと刺さります!!

あまりにリアル過ぎてほんとに
これから生きてゆくのが怖くなります・・・・。

ロストケア

身体の動かなくなった老人を40人以上殺害した〈彼〉への判決が下された。
それは「死刑」・・・。
しかし、遺族たちは〈彼〉を憎む気持ちにはなれなかった。
何故なら、〈彼〉は介護という地獄から救ってくれたのだから・・・。

老人介護を、儲かるビッグビジネスととらえ、金をため込んでいる
老人たちから搾取し、社会に還元!?それを正義だとうそぶく男。
自分は安全地帯にいて正義をふりかざし、性善説を信じる検事。
そして家族の介護に疲れ果てる人たち・・・。

そんな中で次々と老人たちが殺されている・・・。
しかし、警察も自然死として処理。完全犯罪は成立しつつあった・・・。
だが・・・・?
〈彼〉の完全犯罪を暴いた手法がとても斬新!?
面白かったです。

老人を殺害した〈彼〉の本当の目的とは?
〈彼〉の叫びが心に深く突き刺さる!!

日本社会における老人介護という重いテーマ。
描かれたその歪み、経験しないとわからない、隠れた穴。
その穴に落ち込んだら決して這い上がれない・・・。
介護・・・あまりにリアルな描写に、ただただ不安になってしまった。
凄い説得力です。

「絶叫」といい「ロスト・ケア」といい、日本社会にはびこる
深い闇に焦点を当て抉り出す!この葉真中顕さんの作品は凄いです!

新たな社会派ミステリー作家の誕生です!

『ロスト・ケア』
著者:葉真中顕
出版社:光文社
価格:¥1,500