益々面白い!法医昆虫学捜査官第4弾「メビウスの守護者」

川瀬七緒さんの人気シリーズ「法医昆虫学捜査官」シリーズの
第4弾「メビウスの守護者」を読みました!

岩楯刑事&赤堀コンビは益々面白くなります!

メビウス

死体に涌く昆虫の生態から、死亡推定時刻や事件場所、犯人の痕跡を
調べ捜査に活かす、「法医昆虫学」。
アメリカの科学捜査ではすでに導入され、成果が出ているらしい。
しかし、日本ではまだまだ未開の分野だ。
そこに目をつけて、異色の警察小説にしたのが、このシリーズ。

昆虫の生態から事件を解決するなんて!斬新!

四日市警察署管内の山中で男性のバラバラ死体が発見された。
第一発見者は、その署員で山岳救助隊員でもある、牛久巡査長。
警視庁の岩楯警部補も捜査に駆り出された。

現場は、切断された腕がバラバラに投げ出された状態で、
死体には大量のウジが涌いていた。
足、胴体、頭部分は発見出来なかった。

その後、捜査会議が開かれ、そこに法医昆虫学者の赤堀涼子が
現れた。相変わらず作業服に、虫とり網を差した奇妙なスタイル。
周りからは怪しげな視線を送られるが、本人は全く意に介さず。
図太い。だが、この事件を担当する女性管理官は赤堀不要論者だ。
岩楯は、赤堀の言動や行動が心配でならない・・・。

解剖医が、遺体の状況を説明した。手は被害者が誰かわからないように
指は切断され、掌の皮膚は削ぎ取られ徹底的に痕跡が消されていた。
さらに、血管をむりやりひっぱり出し、血を抜いた形跡もある。
死因は不明。死亡推定時刻は死体の状況から死後10日前後と断定した。

だが、そこで赤堀が死亡推定時刻に疑問を呈した。
死体に涌いたウジたちを調べると、死亡推定時刻が解剖医の
いう日数より前だという。
解剖医は意地悪く赤堀を追求。死体と虫とどっちの声が正しいか?
と追いつめた。会議で赤堀は一旦引いたが、解剖医に軽い意趣返しをし、
『絶対にこの子たちが正しい・・・本当の死亡推定時刻を出す』
と不敵な笑みを浮かべる。岩楯と牛久はその笑顔に赤堀の底意地の悪さを見た。

岩楯と牛久は、バラバラ死体が発見された山近くの仙石村の住民に聞き込みを開始する。
すると怪しげな家族が浮上した・・・。

方や、赤堀は、正確な死亡推定時刻を調べるために再度現場に行った。
その現場にはまだ屍肉にたかる昆虫たちがいた・・・。
そこで赤堀はあることに気が付く。

捜査が進むにつれ、ある男の行動が岩楯の刑事の勘を刺激する。
だが物的証拠がほとんど出てこない・・・・。
そして赤堀の方は、死亡推定時刻に関する新たな仮説を提示する。

これらによって次第に犯人像に迫ってゆくが・・・・。

毎回変わる、岩楯の相棒。
今回の牛久巡査長は、超真面目で地元思いの単純でいい奴だ。
岩楯&赤堀コンビも4作目になると、あ・うんの呼吸。たのもしい!

しかし、事件は何だか気味が悪い!人間の薄気味悪さが
非常に上手く描いてあって、事件の真相になかなか辿りつかない
もどかしさが、岩楯と赤堀の想いにシンクロしてしまう。
なんなんだこの事件・・・?
真相がわかるともっと「何?」ってなる。
ほんと、人間の心の闇は海よりも深い・・・のかな?

次回作に益々期待大!!

『メビウスの守護者 法医昆虫学捜査官』
著者:川瀬七緒
出版社:講談社
価格:¥1,500(税別)