第1回ミステリー小説を楽しむ会レポート

3月14日に第1回「ミステリー小説を楽しむ会」を行いました。
ミステリー小説好きが集まり、それぞれに‘これは!’というミステリー小説を紹介しあうという思いでしたが、ミステリー小説は気になるけど、どんな本が面白いのか知りたい!という方も参加され、俄然、紹介する本にも力が入りました。
本好きの小学生も参加してくれました。とても楽しい会になりました。

●紹介されたミステリー小説はこちら~
《活字中毒の男性がおススメ》
・宮部みゆき『小暮写眞館 上下』講談社(文庫)上巻¥700 下巻¥800(税別)
殺人事件が起きないステリー作品。日常の謎がテーマになっている、平易な文章で読みやすく非常に良くできた作品。BSでドラマ化された。神木龍之介が主演。
・天藤真『大誘拐』東京創元社(文庫) ¥840(税別)
日本推理小説の名作といわれている作品。著者は千葉で農業に従事、大学で講師もやっているという変わった経歴の持ち主。物語は、大資産家の老女が身代金目的で誘拐された。しかしこのおばあちゃん、身代金が安すぎる!誘拐犯に身代金は100億円にしろと言い出した。ただの誘拐だと思っていたら、とんでもない方向へとストーリーが展開する!凄く面白い小説。映画化。映画も面白いが、やっぱり本の方が面白い!
・エリス・ピーターズ『秘跡 修道士カドフェル16』光文社(文庫)¥590(税別)
マニアック。1100年代のイングランドが舞台。修道士・カドフェルが修道院周辺で起こる事件を次々と解決してゆく。十字軍時代の背景や、当時の修道院の生活などが詳細に描いてあり面白い。
・ローレンス・ブロック『聖なる酒場の挽歌』二見書房(文庫)¥638(絶版)
アメリカのハードボイルド小説。なぜかハードボイルドかつアル中かつ探偵という分野が確立されている!?アル中が入ると人生の悲哀が混じってくる。この作品は、アル中探偵・マッド・スタガー登場する有名なシリーズ。アル中探偵が酒場に入り浸って話、乱れるところが気にいっている。デイブ・ヴァン・ロンクの音楽もぴったり。ハードボイルドの意味は、感情に流されない。冷酷非情。

《本格推理大好きの男性がおススメ》
・詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか』光文社(文庫)¥600(税別)
書店員の佐藤誠が、お世話になった上司とその娘を殺害し、首を切断した。警察につかまるだが、この佐藤誠はそれまでに86件もの殺人を犯していた。遺体も含め殺人の痕跡を一切残さず、完璧な完全犯罪。事件にもならないようにしていたのに、この事件だけはなぜか証拠を残してしまった。なぜ首を斬ったのか?その理由がすごく衝撃!そうくるかという感じで印象に残った。(参加者さんから読みたい!との声が!)
・円居挽『丸太町ルヴォワール』講談社(文庫)¥714(税別)
人はあまり死なないミステリー。双龍会(そうりゅうえ)という名のショーのような私的裁判が行われていた。その裁判ではどんな屁理屈などを言っても、相手を納得させて反論さえされなければそれで正解。とにかく凄いどんでん返しがある。その回数が半端ない。会話がちょっとふざけていてユーモアもあり面白い。
・島田荘司『御手洗潔の挨拶』講談社(文庫)¥590(税別)
御手洗シリーズ入門には持ってこい!日本人が好きな探偵ランキングで(ホームズ、明智小五郎を抑えて)1位。ガチガチの本格ミステリー。作品間のリンクが多いので作品順に読むのがベスト。だから「占星術殺人事件」からおススメですが・・。この作品は4編の短編を収録。「数字錠」「失踪する死者」「紫電改研究保存会」「ギリシャの犬」。不可能に思える事件。「数字錠」は御手洗潔の人間性がよくわかる。
・島田荘司『奇想、天を動かす』光文社(文庫)¥667(税別)
島田作品のもう一つの人気シリーズ。警察もの。刑事・吉敷竹史が主人公。地道に捜査して事件の真相に迫る。殺人事件を犯したホームレスのボケ老人。それを取り調べた吉敷刑事が、老人の正体を暴いてゆく。その凄い謎について、すべて論理的に説明がなされていた。警察小説だが、謎の種類的には完全に本格の探偵物に分類される。
・ピエール・ルメートル『その女アレックス』文藝春秋(文庫)¥860(税別)
第三部ではアレックスが全く別の顔を見せる。陰惨なシーンが多いが、刑事側にシフトすると、ある意味で読後感がとても良い。
・京極夏彦『百器徒然袋‐雨』講談社(文庫) ¥1,048(税別)
京極堂シリーズ。中編集。京極堂入門にはおススメ。京極堂シリーズは、中禅寺秋彦が主人公だが「百器徒然袋」は私立探偵・榎木津礼二郎がメイン。彼は、捜査もしない推理もしない、人の記憶が見えてしまう。なんでも破壊してしまおうというハチャメチャな人。榎木津さんのキャラが面白い。ユーモアっぽい作品。

《警察小説大好きな女性がおススメ》
・乾くるみ『イニシエーション・ラブ』文藝春秋(文庫)¥580(税別)
今度映画化される。人が死なないミステリー。これはミステリーなのか?サイドAとサイドBに分かれている。どちらも恋愛小説で恋人同士のラブラブさ加減が延々とつづられているが、ラストの一行で面食らう!なぜこれがミステリーなのか?すべてのカギが最後にある。二度読み必須!ラストをスルーしないように!
・歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』文藝春秋(文庫)¥670(税別)
詐欺事件と男性変死事件を調査する普通の探偵小説。だが、真相がわかると、違うものを見せられた感じになり、今まで読んでいたものは一体何だったのかと思ってしまう、仰天ミステリー。
・柚木裕子『検事の死命』宝島社(文庫)¥660(税別)
法廷小説。佐方検事の検察官とてして矜持が素晴らしい!隠された真相があれば徹底的に暴かなければいけないという信念に基づいて事件の全てを明らかにしてゆく。徹底的に正義の検事。法廷ヒューマンドラマ。
・伽古屋圭一『からくり探偵・百栗柿三郎』実業之日本社(文庫)¥593(税別)
大正時代が舞台。実は名探偵の百栗は、洗濯脱水機や人語を解するからくり猫・お玉さんを発明する発明家。あるお屋敷で主人が殺された事件でそのお屋敷のお手伝い・千代さんと出会い、指紋をとる粉を発明し事件の真相を暴いた。事件を論理的に解決してゆく面白さと、千代さんと百栗の漫才みたいな掛合いが魅力。さらに、からくり猫のお玉さんのしぐさがかわいい。最後に凄い秘密が明らかになる!最近おすすめのユーモアミステリー。

《そしてみんなでミステリー小説雑談会の様子を少し~》
・北欧ミステリーがちょっと重いけど、面白い
・北欧に住みやすい国ランキング上位にあがるけど犯罪は多い。スウエーデンの教育費は無料。努力しない限り上に行けない
・世界的にベストセラーになった「ミレニアム」は、北欧ミステリーブームの先駆け。
・「ミレニアム」はスティーグ・ラーソンのデビュー作で遺作。
・北欧のミステリーは「刑事マルティンベック」シリーズがおススメ。1970年代のスウエーデンが舞台。角川文庫から新訳で再発売。日本の警察小説作家に大きな影響を与えた。「笑う警官」と「ロセアンナ」が発売中。
・佐々木譲さんの「笑う警官」はマルティンベックシリーズ「笑う警官」へのオマージュ。
・佐々木譲さんの北海道警シリーズの1作。時々2時間ドラマ化される。
・中山七里「静おばあちゃんにおまかせ」がおススメ。新人刑事にアドバイスする女子大生。実は元裁判官のおばあちゃんの入れ知恵だった。短編集だけどきっちり本格。ラストに仰天!中山さんは最近のおススメ作家のひとり。
・ミステリーの古典では、ポーの「モルグ街の殺人」。ミステリー小説や探偵小説の元になった作品。犯人に驚く!J・D・カーやE・クイーンは古典の名作だが旧すぎる。
・「ホーンテッド・キャンパス」も面白い!大学のオカルト研究会がオカルトがらみの事件を解決してゆくシリーズ。それほど怖くない。
・「心霊探偵八雲」・「バチカン奇跡調査官」シリーズはイケメン探偵くくり。「バチカン」のほうは、宗教や世界史、教会の薀蓄が凄い。勉強になる。

ミステリー好きが集まって、テンションたかく語りあい、その中でこれは読みたいと言う本がたくさん出てきました。特に「遠海事件」は担当者が読んで面白いと思ったら店頭拡販しようと決まりました!参加者全員がとても楽しめた会でした。「ミステリー小説を楽しむ会」機会があればまた企画したいと思います!!

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