第18回内田樹部読書会レポート

2014年9月24日(水)に第18回内田樹読書会を行いました。
テーマ本は、「街場のマンガ論」。
男性5人、女性4人、初参加の方を含め計9人。
最近、マンガはあまり読まないよと言う人もいましたが、子どもの頃はみ~んなマンガが好きでした。そんなこだわりのマンガの話やその周辺のお話で盛り上がった2時間でした!

●それではエッセンスを少しご紹介。

★井上雄彦論
・何かしないといけない焦燥感、自分が成長するために出会いを求めるって変?
・そういう焦燥感は、若いうちならあるある!!
・「バガボンド」に登場する二人の‘じじい’は、内田先生がよく言う、男の子の成長過程に必要な父親と叔父的役割の人か?
・子供の成長のためには相反する人間が必要。
・自分から扉を開けないと出会いはない。成長もない。社会性も育たない。
・色々な人が色々なことを言う。でもどれも聞く。そして悩む。悩むことが成長。
・決まった枠の中で、決まったことをするのは成長しない。
・どういう人に出会うかで人生は決まる。

★マンガと日本語
・日本語は、表意文字と表音文字を脳内で使い分けするから、マンガ文化が根付いた?
・日本の読書リテラシーの異常な高さ。日本人は世界と比較すると識字率が高い。
・孫崎亨の著書で読んで知ったが幕末、ペリーが日本に来たとき、日本人の識字率の高さに驚いて統治をあきらめたくらい。
・海外でも日本のマンガが人気だけど・・彼らはマンガというよりアニメファンが多い。
・海外のマンガのあり方は国によって違う。こどもが読むもの?オトナの芸術?
・鳥取県出身の谷口ジローのマンガは海外での評価が高い。特にバンドデシネ・フランスでは大人気。倉吉が舞台のマンガ「遥かな町で」がフランスで映画化された。たくさん賞を受賞しているが、2011年フランスから授与された、芸術文化勲章シュバリエ章受章は有名。
・外国人が日本の文化を紹介する動画が人気。「えー、そこ?!」っていう着眼点。日本人が気づかなかったことをたくさん紹介している。書店でも外国人が書いた日本文化紹介本が売れている。

★宮崎論
・海外でもジブリの人気は凄い!
・ロシア人もジブリ好き、アニメ好き!
・「ハウルの動く城」は2回観たら面白さがわかる!でもハウルの声がキムタクってのが・・・
・宮崎駿は流行に疎くて、声優・俳優をあまりご存知ない。そこで鈴木プロデューサーがキャスティングしているそうです。お互いがひきあって仕事をしているみたい。
・「もののけ姫」は景観が美しい。「となりのトトロ」も。というか、それはジブリ作品すべてに言えますね。
・「ゲド戦記」「思い出のマーニー」「借りぐらしのアリエッティ」など昔ながらの児童文学を映画にすることが多い。世代かな?

★オタク論・ボーイズラブ論~かなり議論が盛り上がったのは
「ボーイズラブとエロス」の章と「反米ナショナリズムとしての少年愛マンガ」のあたり
・男が男を「カッコイイ!」と評価するとゲイと言われる空気!?
・「反米ナショナリズムとしての少年愛マンガ」は、内田先生と考え方が違う。
・全共闘時代は幕末の攘夷行動の再現!?
・ボーイズラブが盛り上がるきっかけ→女子に人気の少年マンガの登場人物をネタにした二次制作、同人誌化。例えば、キャプテン翼、聖闘士星矢、スラムダンク、最近は、ハイキュー、黒子のバスケ、弱虫ペダルなど。キャラ設定を借りてのパロディ好き。
・少年マンガの主人公は、成長が必要ということで、ちょっと足りない。脇役の方が力量あるのに主人公になりえない。戦隊でいうと、クールなブルー、グリーンよりもやっぱりみんなレッドが好き。
・ハーレクイン小説上陸から40年以上が経過。女子の欲望とエロスにあふれている。
・女子にモテたかったら、少女マンガを読め!とのアドバイス(笑)

★少女マンガ論
・少女マンガは「女性のビルドゥングスロマン」
・「学園界」「道場界」「家庭界」=友情・努力・成長 少年ジャンプみたい
・「エースをねらえ」は女子の琴線にふれる
・P200 エースをねらえ!に学ぶ「死に臨んで悔いが無い状態」
・P165 16歳のガキがいる。年を重ねても子どものまま(例えるならマトリョーシカ状態)

★大学マンガ
・みんな「もやしもん」のような大学生活にあこがれている。自分がいた研究室も壁に唖然とする世間をおちょくるパロディが乱立。大学マンガのノリ?
・知らなかった大学学部、(獣医、音楽、農業・・・)や職業をテーマにしたマンガがウケている。そんな面白そうな世界ならと受験する人が増えている。

★再び「マンガと日本語」
・漢字表意文字1字ならそう思うが、熟語だと違うのではないか?マンガを同時平衡で処理する日本人は特別ではないと感じた。このあたりの説明では、しっくりこなかった。
・考えることをやめると老化する。常に好奇心は持ったほうがいい。
・新しく詰め込むためには忘れることも大事。

コンスタントに新メンバーのお申込みいただき、ゆるいながらも続く大人の部活動。
知的好奇心とアタマの異種格闘技戦で盛り上がる内田樹部。
必ずしも内田ファンでなくてもいいのです。(ちなみにアンチ内田の方もいらっしゃいますし(笑)課題本しか読まないよ、という方もいらっしゃいます。)
内田樹著作を軸にカンタンなアタマの体操をしています。
話したい人・聴きたい人のバランスが絶妙の会です。
ご興味を持たれた方はぜひ、お気軽にメールもしくはお電話ください。
みなさまのご参加をお待ちしております。
次回のテーマ本は、「街場の共同体論」です!

関連記事

ページ上部へ戻る