刑事マルティン・ベックシリーズ新装版、記念すべき第1作「ロセアンナ」

1964年にスウェーデンで刊行された「刑事マルティン・ベック」シリーズ。
日本では、今から20年くらい前に英語版から翻訳された
「刑事マルティン・ベック」シリーズが大ヒットしていた。
はまさきも、その英語版から翻訳されたものを読んだ。
確か、高見浩さんの訳本だった。
すごく面白くて、このシリーズにはまりシリーズ10作を2回は読んでいる。

そして、昨今の「北欧ミステリー」ブームで、
このシリーズも新訳で登場!スウェーデン語から直接
訳しているので、英語からの訳本とは多少言葉などが
違うらしい。
2013年に、日本でシリーズ中一番人気の「笑う警官」が
(シリーズ4作目にあたる)新訳で発売された。
訳者は柳沢由美子さんだ。読みやすい!
本の表紙も以前のシリーズと比較すると北欧ミステリーらしく
渋くて暗くてかっこいい!!

ところで、この「ロセアンナ」、以前のタイトルは「ロゼアンナ」
だった。英語読みはそうなるらしいが、スウェーデン語読みだと
濁らないそうだ。なるほど!新訳らしい発見!

そして、刑事マルティン・ベックシリーズの記念すべき
第1作目がこの「ロセアンナ」だ。
スウェーデン国民に衝撃を与えた、警察小説の金字塔。

ロセアンナ

モーターラのボーレンスフルトの閘門で全裸女性の
絞殺死体が見つかった。
ストックホルム警察の殺人課に所属する、刑事、
マルティン・ベックは、モーターラの地方警察に赴き、
事件のサポートをすることになった。
地方警察で手に負えない事件が起こるとストックホルムの
エキスパートが呼ばれる。
マルティンは地方警察の刑事、グンナル・アールべりと共に
事件の捜査をすることになった。

身元不明の女性の遺体は、どこからも問い合わせが無く、
事件はたちまち膠着状態に陥ってしまう。
だが、アメリカの警察から一通の電報が届く。
「ソレハコッチノサガシテイルオンナダ」。
遺体の名前は、ロセアンナ・マッグロー、27歳。
アメリカ国籍の女性だった。
この情報から、捜査はいっきに進み始める。
マルティン・ベックとアールべりは、
ロセアンナがスウェーデンに来てからの行動を調べ、
さらにアメリカらもたらされた新たな情報を
頼りに、ロセアンナと関係を持った男たちについての
証言を探ってゆく・・・。

事件の始まりが印象的。
その一行で物語に入り込んでしまう。
さらに、マルティン・ベックと言う刑事の描写。
ヒーローでも何でもない、普通の刑事の
朝の日常。捜査のサポートのため、地方へ赴く
刑事の苦悩が描かれている。
読者が共感するポイントだ!

殺された女性の身元が分からず、四苦八苦する警察。
そして徐々に情報が集まり、捜査が進み始めると
俄然、面白くなってくる!
そこからは一気読みだ!

刑事たちのドラマに酔いしれること間違いなし!

『刑事マルティン・ベック ロセアンナ』
著者:マイ・シューヴァル/ペール・ヴァ―ルー著 柳沢由美子訳
出版社:KADOKAWA
価格¥800(税別)