調査報道のバイブル!「殺人犯はそこにいる」

殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」清水潔著
この本はミステリー小説ではありません。ノンフィクションです。

著者は、「遺言 桶川ストーカー事件」の著者であり、
迷宮入りになりそうだったこの事件を取材し、事件の真相と
犯人を突き止め警察を動かし、ストーカー規制法制定の
きっかけを作った事件記者です。

殺人犯はそこにいる

先日、ニュースで20年前に群馬県で行方不明になった横山ゆかりちゃんの
ご両親が記者会見で、早く娘を探しだしてほしいと警察に訴えていました。

清水氏はこの事件は、北関東で起きている未解決の幼女誘拐殺人事件に
関連があると、著書の「殺人犯はそこにいる~」で明らかにしている。

清水氏はある番組制作がきっかけで、未解決事件の取材を始めた。
着目したのは、北関東周辺で起こった連続幼女誘拐殺人事件だった。

清水氏はまず、解決済みとされた「足利事件」から調査を開始する。
すると奇妙なことに気が付く。
「足利事件」を含め、未解決の事件現場の距離が群馬・栃木県を
またいでいるとはいえ、約10キロ圏内。
さらに、誘拐時の状況。彼女たちはパチンコ店で行方不明に
なっている・・・?
清水氏はその事件現場とパチンコ店という一致に
これは連続殺人事件ではないかと気が付き、足利市で起きた
事件の容疑で逮捕された菅家さんは冤罪だと確信した。
そして2009年、「足利事件」で17年間も服役していた菅家さんは、
無実であることが認められ釈放される。
つまり、連続幼女誘拐殺人の真犯人はいまだ逮捕されず野放し状態ということだ。

しかし、清水氏は独自の取材でその真犯人を特定している。
では、清水氏がいかにして、足利事件の菅家さんを無罪に導き、
その真相と真犯人に辿り着いたのか?

丁寧で緻密な取材、警察との軋轢の過程が詳細に描かれている。

ここまでわかっていながら何故警察は動かないのか?
読んでいて憤りを感じてしまう。

本書は、北関東連続幼女誘拐殺人事件の真相とさらに日本の司法の闇をも
炙り出している!!

「調査報道のバイブル」とも言われた本書は、新潮ドキュメント賞
日本推理作家協会賞を受賞。
日本中に衝撃を与えた事件ノンフィクション。

『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』
著者:清水潔
出版社:新潮社(文庫)
価格:¥750(税別)