ゾワッと鳥肌が・・・「怪談のテープ起こし」

三津田信三さんの「怪談のテープ起こし」を読みました。
装丁、恐い・・・・!!!

三津田さんの作品は刀城言耶シリーズを読んだり、
怪談ものを読んでみたり・・・。
好きなのですが、夜眠れなくなるくらい恐いので
控えめにしていたのです。
が・・・「怪談のテープ起こし」は吸い寄せられてしまいました。

障りがないと良いのですが・・・
三津田さんもこの本の中でしきりに読者を心配していらっしゃいます。

テープ起こし

かなり、ノンフィクション的な手法を使っているので、
実際に本当に起こったことなのでは・・?と思ってしまいます。
「水」がからむ怪談の連作短編。

「死人のテープ起こし」は自殺者の最期の声を起こしたものですが、
最初は自分の状況を嘆いたりする声なのが、次第に不気味な音が
入り混じってくる。

一番恐いと感じた「留守番の夜」はバイト代につられて
ある大きな洋館で一晩留守番をする女性の話。
3Fに夫婦の伯母が同居していて、顔を合わせなかったら
大丈夫だと念を押される。そしてその夫婦が出かけた後、
3Fからやたらともの音が!同居の伯母はすでに亡くなっている
と妻の方から聞いていたのに・・・。
広い洋館にたった一人留守番する恐ろしさに鳥肌が・・・。

「集まった4人」、友人の誘いで登山ををすることになった青年。
だが、駅に行くと友人はおらず、その友人から誘われたらしい
登山者たちがいた。そこで青年の携帯に自分は行けないが
リーダーとして他のものを連れて行って欲しいとの連絡が入った。
見知らぬ人たちとの登山が始まった・・・。
そして、不気味なメールが入る。そのメールが届いてから
他の登山者たちの様子がおかしくなり始める。
クリスティの「そして誰もいなくなった」を意識した創り。

「屍と寝るな」これも不気味な話。
不気味な老人の語る話がめちゃめちゃ恐い。
子どもの時に家のお使いで、香典を持って行かされたときに
祖母がコックリさんで占ってくれたら、
「しかばねとねるな」と出た。いったいどういう意味・・・?
老人の口から飛び出す意味不明の言葉がとんでもなく気持ち悪い。

「黄雨女」。大学生が出会った不気味な女。
雨が降っていないのに黄色い合羽を着込み,
長靴も黄色。全身黄色づくめの女。
その大学生の彼女が「黄雨女」と名付けた。
なぜ彼のもとに現れるのか・・・?

「すれちがうもの」は全く身に覚えなのない一輪挿しがマンションの
ドアの前に置いてあった日から、黒い人影が視えるようになった
OL。踏み切りの向こう側から毎日見える。それが次第に自分に
近づいてくるような気がする・・・。
一体なぜ??

最後の2編は怖すぎて、自宅に帰るのが恐くなったほどだ。
また短編の合間に挿入される、作家と担当編集者との
やりとりが、この短編集が実話なのかそうでないのか
という疑惑を持たせる。

どの短編もぞわ~っと鳥肌が立ってきて
こんなことに出会ったら絶対にイヤ!と思ってしまう。

『怪談のテープ起こし』
著者:三津田信三
出版社:集英社
価格:¥1,600(税別)