江戸時代の怪物の恐ろしさを描く!「荒神」

宮部みゆきさんの異色の時代劇、
「荒神」(新潮社)を読みました。
今月、文庫化されたばかりです。

凄く恐ろしい怪物が登場する時代小説で、
読み進むうちに、なんと「シン・ゴジラ」の
ゴジラのように、怪物の体が進化する
シーンがあり、おー、凄いと思いました

下野の小藩、香山藩の山村に突如出現した、
山の如く大きい怪物。
住民を喰らい、家家を踏みつぶし、一夜にしてひとつの
村を破壊した。
そんな中、一人の少年が逃げ切った。行き倒れていたところを
隣藩の永津野藩の藩主側近・曽谷弾正の妹・朱音に救われる。
朱音や従者たちの懸命な看病によって、息を吹き返した少年は、
にわかには信じられない出来事を話した。

怪物はもう近くに来ている、永津野の屈強な武士が
相手でも決して倒せないだろう・・・・。

片や、香山藩藩主小姓・小日向尚弥は、土地の流行り病
「かんどり」に罹り臥せっていた。
病が癒えた頃、村の異変を耳にする。
さらに香山藩藩主の愛妾が生んだ、おつぎ様が「かんどり」
に罹り、危篤状態であると知った。
藩主の愛妾・お国様の思惑で窮地に立たされた小日向は
友人の父で、自らも父と慕う、志野兵庫之助から
身を隠すように云われる。
小日向は、異変が起きた村で警護の仕事をしている友・
志野達之介の身を安じ、志野家の従者・やじと共に
村へ向かった。

辿り着いた村は、死屍累々の地獄絵図が広がっていた・・。

怪物の名は、「つちみかどさま」。
それが、なぜ突如現れたのか?
事情を知る、老人から語られる驚天動地の真実!

憎み合う、両藩の思惑を背景に、怪物が暴れまわる!
全ての人を喰らおうとする怪物は、人間の憎悪の
かたまりのようでもある。
人間の「邪悪」の塊!

いかに倒せるかのか・・・?
つちみかどさまが作られた真実が実に恐ろしい!!

2018年NHKBSプレミアムにてスペシャルドラマ化

『荒神』
著者:宮部みゆき
出版社:新潮社(文庫)
価格:¥940(税別)