怒涛のラストに絶句!「特捜部Q吊るされた少女」

デンマークの大人気警察小説「特捜部Q」シリーズ。
面白いので、全シリーズいっきに読むのがもったいない。
でも、とうとう「特捜部Q吊るされた少女」に辿りついて
しまった。これを読み終わったら当分このシリーズの
新刊が読めないな~と思っていたら、最新刊が
発売されていた。「特捜部Q自撮りする女たち」。
これはもう少しあとのお楽しみにとっておこう。

コペンハーゲン警察の「特捜部Q」は
未解決事件を専門に扱う部署。これまでに
かなりの数を解決してきた。

今回の未解決事件は、17年前に起こった少女ひき逃げ事件。
車に跳ね飛ばされた少女が木に逆さ吊りになったまま
絶命した悲惨な事件だ。

その少女を発見したのは地元の警察官・ハーバーザート。
ハーバーザートは、この事件にとりつかれ家族は崩壊。
そして、17年後自分の退官式に拳銃自殺を図った。

衝撃的展開の中で、事件の継続捜査を託された
特捜部Qのカール・マーク警部補。
ハーバーザートは退官式の前にこの事件を
継続捜査してくれと、カールに電話したが、
カールに冷たく電話を切られていた。

部下のローセからは、ハーバーザートが自殺したのは
カールが断ったせいだと無言の圧力をかけられていた。
そしてしぶしぶ、この事件と向き合うことに。

カールが本気を出せば、17年間明らかにされなかった
事件の真相が見えてくるかも知れない。
カールは、アサドとローセとともに、ハーバーザート
が遺した膨大な捜査資料を元に捜査を開始した。

17年前の事件の関係者に話を聞いて回ると、
少女の周りに何人もの男の影がちらついてきた。
そしてその中の一人にカールは注目する。
だが、その男は新興宗教に関係している男のようだった。

カールたちの捜査で、ひき逃げされた少女は
可愛そうな女子高生というイメージから、男を虜に
する小悪魔にすり替わってゆく。
そして、カール達が眼をつけた男は、女性たちの
心を惑わすカリスマ的要素を秘めたプレイボーイだった。
カールたちが突き止めた真相は、男に関わった
すべてのものの人生を狂わせていた・・・。

狂信的に愛するものを守ろうとする人間の
恐ろしいまでの執着心が、数々の悲劇を生んだ。
ラストの怒涛の展開は、息を呑むほどすさまじい!

最後の最後まで完全に騙されてしまった。
大!大!大逆転の警察ミステリー。

『特捜部Q 吊るされた少女』
著者:ユッシ・エーズラ・オールスン/吉田奈保子(訳)
出版社:早川書房
価格:¥2,100(ポケットミステリー)
   上下各¥860(文庫版)
   (全て税別)