お祓い師・鬼龍光一&安倍隆景と少年事件課の富野刑事が活躍!『呪護』

今野敏先生の大人気警察小説シリーズの最新刊「呪護」です。

お祓い師・鬼龍光一&安倍隆景と警視庁少年事件課の富野刑事が
常識では考えられない事件を解いてゆく、オカルト系警察小説。

シリーズも「陰陽」「憑物」「鬼龍」「豹変」(角川文庫)
番外編で「パラレル」(中公文庫)が発売されていて、
とても面白いシリーズ。

さてさて新作「呪護」も相変わらず面白い!

都内の私立高校で、傷害事件が起きた。
男子生徒が、男性教師を刺したのだ。
身柄はすぐに拘束され、男子生徒は取調を受ける。
男性教師と女子生徒が淫らな行為を行っている
ところを目撃した男子生徒は、女子生徒が襲われて
いると思い、思わず教師を刺したと言う。

警視庁少年事件課・富野刑事は、現場に居合わせた
女子生徒に事情を聞くと、男子生徒の供述とは
違う奇妙な話をした。

富野の中に違和感が生まれる…。

刺された男性教師が入院している病院へ向かう富野の前に
お祓い師の鬼龍光一と安倍隆景があらわれた。

この二人がいるということは、この事件は常識では
解決できない事件ということだ….。

富野はまたしても、ありえない事件に首を
突っ込むことに….。

このシリーズの最大の魅力は、祓い師の鬼龍と安倍の
漫才のように軽妙な会話。そしてその二人に振り回される
富野刑事というキャラ設定だ。
さらに、事件の背景が陰陽師系の裏歴史にまつわる
もので、表に出ている歴史好きにも非常に興味深く
読ませる、今野先生の博識さが際立っているところだ。

祓い師の二人曰く、富野はナガスネ彦やアビ彦のトミ氏の
末裔で、二人より位が上で、こんな事件を呼び寄せて
しまうのだという。

今回の事件も、背景には陰陽師系が絡んでいるようだ。
江戸幕府と平将門伝説の関連性、北斗七星と魔法陣、
さらに山手線の秘密など、わくわくする要素が
盛りだくさん。
そしてこの要素が事件とどう繋がってゆくのかが
最大の読みどころ。

そして今回やっと、富野刑事を理解する刑事が現れる。
この手の話に目がない、強行犯係の橘川だ。

新たなキャラも加え、規格外の面白さで迫る
オカルト系警察ミステリー!

『呪護』
著者:今野敏
出版社:KADOKAWA
価格:¥1,700(税別)