「虚構推理」の世界がもっと楽しめる!「虚構推理短編集」

以前、タイトルに惹かれ手に取った、長編「虚構推理」。
鉄骨を振るい人を襲う亡霊「鋼人七瀬(こうじんななせ)」
のミステリーを一眼一足の美少女が解決するという
奇想天外な設定に驚愕した。

その「虚構推理」の短編集を発見!
一眼一足の美少女・岩永琴子の推理が存分に楽しめる!!!

怪異たちに知恵を与える巫女になった、
一眼一足の美少女・岩永琴子。
怪異たちからおひい様と呼ばれる、一風変わった女の子だ。
そんな彼女には心強い相棒がいる。
永遠に死なない恋人・桜川九郎だ。

岩永のもとへは、妖怪や幽霊たちから相談が持ち込まれる。

例えば、何百年生きる水神の大蛇から、自分が棲まう沼に
他殺体を捨てた犯人の動機は何か・・・?とか。

うなぎ屋で、店の客の一人に妻殺害の真相を暴いたり・・・。

孫を交通事故で失った男の怒りと無念の心が、
木の人形に宿り、その人形の暴走をとめてとの依頼。

日本に一台しかないギロチン台から、持ち主の
殺人の謎を解いて欲しい!?

山奥で化狸がつくるうどんを食べたために、
たまたまアリバイが出来ちゃった殺人犯に
嘘の真実を創ることになったり….。などなど。

琴子は、これらの事件や相談事を完璧なロジックで
解明し、最善の方法で導く凄い巫女。

そして綺麗に収まる話もあれば、背筋が凍る
ラストが待っている短編もある。

全て虚構の世界のお話なのに、いかにも
現実にありそうっぽく描いている。そこにとても惹かれる。

なんだか妖怪、怪異たちの方が人間らしく
描かれているところがとてもユニークだ。

私たちが普段見ている世界は、この世のほんの
一部分で、この虚構と言われる世界が
実はあるのではないか?と思ってしまう。

琴子の九郎の距離感の描き方もとても素敵。

もっと「虚構」の世界を堪能したいと思わせる短編集だ。

『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』
著者:城平京
出版社:講談社(タイガ文庫)
価格:¥720(税別)