北海道警シリーズ最新作が切ない!「真夏の雷管」

大好きな警察小説シリーズです。佐々木譲さんの
「北海道警・大通警察署」
「笑う警官」から、シリーズ8作品目は「真夏の雷管」。

夏休みに入った。
いつもの場所で、憧れの列車・特急スーパーおおぞらを
見送った少年。
そこで一人の男性と出会った。彼は鉄道好きらしい。
その男性は、小樽の鉄道博物館に連れていってくれるという。
夏休みだし、少年は嬉々として男性の提案に従った!

大通署生活安全課の刑事・小島百合は、老舗の
模型店で工具を万引きした男子小学生を補導した。
妙に冷めた小学生だ。
署で話を聞こうと連れて行ったが、ちょっと目を離した
隙に逃げられてしまう。

一方、刑事課の佐伯宏一は、園芸店の窃盗犯を追っていた。
盗まれたものは爆薬の材料にもなる化学肥料の袋だった!

男子小学生の万引き事件、園芸店の窃盗事件。
二つの事件は交錯し、想像をはるかに超えた
危険な方向へと動き出してゆく!

必死に生きようとする人たちを絶望の底に追いつめる。
貧困・育児放棄・孤独、社会からの隔絶…..。
現代社会が抱える闇が、いくつも浮かび上がる。

そこから導き出された事件の真実があまりにも切なすぎる!
心に沁みる傑作。

『真夏の雷管 北海道警・大通警察署』
著者:佐々木譲
出版社:角川春樹事務所(文庫)
価格:¥720(税別)