鳥取県日野郡日南町が舞台の驚愕ミステリー!「日南X」

米子在住の作家・松本薫さんの日野郡三部作目は
ミステリー小説!「日南X」です。

以前、時代小説「謀る理兵衛」を読みましたが、
キャラクター描写、時代背景、ストーリー展開、
どれも素晴らしく、ものすごく面白かった印象が
あります。

この「日南X」も大変面白いミステリー小説です。

時は平成4年。大手新聞社の記者・牟田口は、
米子支局に異動となり、高校生の娘と二人で米子で
暮らすことになった。

ある日、部活途中の娘が教師と部活仲間とともに、
赤猪岩神社でナイフが刺さった男性を発見!
すぐに警察に連絡した。警察官を連れて現場に
戻ってきた娘たちは、驚愕する。
倒れていたはずの男性の姿が消えていたのだ!

多数の目撃者がいるにも関わらず、警察は
見まちがえでは?と言って去っていった。
だが、それは謎に満ちた連続殺人、はたまた
拉致事件の前兆だった。

古事記ゆかりの赤猪岩神社で起きた遺体消失と
不可解なメッセージから始まるこの物語。

主人公の大手新聞社支局の新聞記者が地元警察の
ベテラン刑事とタッグを組んで難事件に挑む!

オオクニヌシ伝説、日南町の影の歴史、
地元ゆかりのエピソードを背景に、過去と
現在が繋がってゆく。

そして、調査の過程で明かされる謎の人物たち。
日南Xとは誰なのか?

また、非常時の中だからこそ強まる家族の絆や、
苦難に巻き込まれた友達との交流・・・。
真の友情とは何かを考えさせられる。

絶妙なタイミングで配置された伏線の数々に翻弄
されつつ、最後の最後まで読ませる面白さだ。

たった一つの謎を残したままのラスト….。
それがこの物語にふさわしいと感じた。

『日南X』
著者:松本薫
出版社:今井出版
価格:¥1,500(税別)