面白すぎていっき読みです!「悪寒」。

「代償」がベストセラーになっている、伊岡瞬さんの
「悪寒」(集英社文庫)を読みました。
読み始めたら、止まらなかったです!

大手薬品会社に勤務する藤井は、上司の命令で
ちょっとした不正に手を染めた。
それが明るみに出て、上司もろとも責任をとらされ、
地方の販売会社に出向させられた。

そこでは、支店長から日々嫌味を言われる毎日。
そんな単身赴任中の藤井の心の支えは家族。

会社とは半年という出向期間の約束。
しかしそれは、会社が裏切らない限りと
いう不安がつきまとう。

そんな不安の中、最近家族の態度が
よそよそしくなったと感じていた。

ある日同僚と飲んでいたところ、妻から不可解な
メッセージが届く。
「家の中でトラブルが起きました」とある。
聡明な妻がこんなわけのわからない
メールを送ってくるなんて….。

激しい不安にかられた藤井は東京の実家へと向かった。
そこで藤井を待ち受けていたものは・・・・。

妻の裏切りと藤井が憎んでいた上司の殺人疑惑、
娘との隔絶、会社への不信….。

妻が自分の上司を殺害したなんて….。
絶対に信じられない。
しかし、妻への疑惑が次々と藤井を襲う。

会社への不満はありつつも、家族を信じ
幸せに生きていた男が、ある日突然
絶望のどん底へ突き落される!

現実なのか?それとも夢なのか?
しっかりと大地を踏ん張ることが出来ない
アンバランスな男の心理を超リアルに
描いてある。その上手さに引き込まれて
しまうのだ。

そして、2転3転するストーリー展開も
読者を飽きさせない。
先が気になって仕方ない。

極上のサスペンスミステリーであるとともに、
人生、夫婦、家族の在り方を問う、
極上のエンターティメント作品でもあると思う。

『悪寒』
著者:伊岡瞬
出版社:集英社(文庫)
価格:¥770(税別)