読み始めたら止まらない!「冷たい檻」

伊岡瞬さんの「代償」「悪寒」「痣」に続き
文庫新刊「冷たい檻」を読みました。

冒頭からのスリリングな展開に心を
鷲掴みにされました。

17年前に息子を誘拐された樋口は、その後
妻と離婚。警察も退職し調査官として働く。

北陸地方の村の駐在所から警官が失踪した。
県警本部の依頼で、駐在所の調査に入った
樋口は、後任の駐在・島崎巡査部長ともに
前任の駐在の失踪の謎を追う。

その過程で、村では農作業に使う器具が何者かに
盗まれるという盗難事件が起こっていることが発覚。

次々と耳に入るきな臭いに情報に、
樋口はこの村には何かあると嗅ぎ取る。

一方、村に存在する大型複合医療施設の
介護付き老人ホームに入所していた70歳台の
老人が海に落ちて亡くなる事件が発生していた。
施設では様々な憶測が飛んでいた

樋口は、失踪した駐在の行方を調査する
かたわら、大型医療施設についての裏情報も
キャッチ。
数々の事件がこの施設に関係していること
に気づく。

しかし、不可解な殺人事件が起こってしまう。
それは凄惨極まりないものだった!

樋口・島崎の視点、施設の入所者たちの視点
また、施設を誘致した者たちの視点、
多数の人物の視点で描かれた物語。
数々の事件がどう繋がってゆくのか?
どんな風に発展してゆくのか?
先へ先へと引きずられるように読みすすめてしまう。

すべての謎が解き明かされたクライマックスは
圧巻!としか言いようがない。

卓越したリーダビリティで読ませる、サスペンスの傑作。
読みだしたら止まらない!夜に読んだら徹夜覚悟で!!

『冷たい檻』
著者:伊岡瞬
出版社:中央公論新社
価格:¥880(税別)