新たなジャンル鉄道警察の奮闘を描く!『追跡 警視庁鉄道警察隊』

『M8』、『TSUNAMI 津波』、『東京大洪水』など、パニック小説を中心に描かれていた、高嶋哲夫氏が警察小説を描かれました!
しかも縁の下の力持ち的部署‘鉄道警察’が舞台。
刑事部(課)が舞台の警察小説が多い中、鉄道警察にスポットを当てた作品は今まであまり無かったので、とても興味深く読めました。
警視庁鉄道警察隊は、警視庁では地域部に所属。隊本部のほかに、東京、新宿、上野、立川の各駅に分駐所が置かれている。
この作品では、新宿分駐所第二中隊、第五小隊に所属する、警察官になって3年目の小松原梓が主人公。相棒は、大先輩の警察官・岩佐だ。
二人は警乗中の電車内で女子高生のバッグが何者かに切り裂かれるという事件に遭遇。
そこで追っていた外国人スリ集団を逃してしまう・・・。
都内を運行する列車内で、スリと切り裂き事件が相次いで発生していた。
切り裂き事件は、あっさりと犯人が逮捕された。
軽い認知症を患っている初老の女性が、夫とともに自主してきたのだ。
切り裂き事件は解決したかに見えたが、しばらくしてまた切り裂き事件が起こる。
今度はバッグだけではなく、明らかに女性の体も狙っていた!?そして犯行は次第にエスカレートしていく。
師走の列車内で蠢く犯罪を、小松原たち鉄道警察隊が追い詰めていく!!!
鉄道警察隊は、日々警乗する列車内で様々な事件、事故に遭遇する。
だが、「現行犯逮捕以外は事件現場の現状維持」しかできない。
必死に事件を追っても、ほかの部署に手柄は持って行かれてしまう。
若い小松原はそれが納得できず、時に憤り、先輩刑事にやつあたり・・・。
しかし仲間に励まされ事件を追っていくうちに、小松原は鉄道警察隊での仕事にやりがいを見出していく・・・・。
鉄道警察隊の日常が非常にリアルに描かれていて、とにかく興味深い。
また、エスカレートしていく切り裂き事件の犯人が徐々に姿を現していく過程は、サスペンス仕立てになっていて非常に面白かった。
ぜひぜひシリーズ化してほしい作品。
『追跡 警視庁鉄道警察隊』
著者: 高嶋哲夫
出版社:角川春樹事務所
価格:¥667(税別)