前作を凌ぐ面白さ!「パリのアパルトマン」

ギヨーム・ミュッソの「ブルックリンの少女」が
あまりにも面白かったので、次作
「パリのアパルトマン」も読みました。

「ブルックリンの少女」を凌ぐ面白さ!
2作続けて読んで、気がついたこと。
海外のミステリー作品は謎解きのあと
主人公たちはこのあとどうなったんだろう?
ともやもやしたラストが多いような気がしたけれど
ギヨームの描く作品は、事件後の主人公
たちの物語も描かれていてすっきりします。

クリスマス間近のパリで偶然出会った男女。

男はアル中気味の著名な劇作家・ガスパール
集中して脚本の案を練るために、急死した
天才画家・ローレンツのアトリエにやってきた。

女はイギリス人の元刑事・マデリン。
疲れ切った心を癒すために、ローレンツの
アトリエを探し出した。

そこで二人は鉢合わせをする。

マデリンは、ダブルブッキングについて
アトリエの管理人で画廊オーナーに
さんざんクレームを入れていたが、
急死したローレンツに興味を抱く。
画廊オーナーはマデリンの以前の仕事を
知るとある依頼をする。

それは、画家が死の直前に描いたとされる
未発見の遺作三点を探し出して欲しいとの
依頼だった。

マデリンは、ローレンツのアパートの
賃貸権をガスパールに譲り、自分は別の
場所で過ごすことを決意。

画廊のオーナーから依頼された件を
ガスパールに話すと興味を持ち、二人は
ローレンツの遺作三点を捜索することに!

その捜索は、やがてローレンツの過去と彼を
襲った悲劇、そして死の間際の彼の不可解な
行動を辿ることになる・・・。

急死したローレンツの思いが残った絵。
その絵に隠された秘密に導かれ、たどり着いた
二人を待ち受けていたのは、運命の
いたずらとしか言いようのないあまりにも
予想外の真実だった・・・・。

画家ローレンツの絵に隠された秘密から
とんでもない真実にたどり着いてゆく
過程は非常に面白い!

それに輪をかけてこの作品を面白く
しているのは、マデリンとガスパールの
強烈な個性のぶつかり合いだ。

仕事でたくさんの悲劇を目の当たりにし、
愛する人と結ばれず、孤独に泣く
マデリンはなんとしても自分の子どもが
欲しいと望み、婦人科医のもとへ通っていた。
本当は、ローレンツのことなどどうでもよい!
と思っていた。
かたや、著名な劇作家でありながら、
行き詰っていたガスパールは、なぜか
画家の遺した絵のメッセージから、真実を
突き止めることが使命のように思い
執拗にマデリンに協力を依頼する。
マデリンにこけにされても殴られてもだ。

読んでいて、マデリンとガスパールの物語の
渦中に放り込まれたようなリアルさを感じた。

映画化されたらきっとヒットするのにな。

この2作品ですっかり、ギヨーム・ミュッソに
はまってしまった。

次回作が待ち遠しい~。

『パリのアパルトマン』
著者:ギヨーム・ミュッソ/吉田恒雄訳
出版社:集英社(文庫)
価格:¥1,150(税別)