横溝正史「人形佐七捕物帳」おすすめです。

中学~高校時代は、横溝正史ブームだった。
石坂浩二さんが金田一耕助を演じた、角川映画
「犬神家の一族」のポスターのインパクトが
凄すぎて忘れられない。

学校の図書館では、探偵・金田一耕助
シリーズが人気で、本が戻ってくると
すぐに貸し出されるという繰り返しだった。

お小遣いを握って本屋に行っても売り切れ続出。
でも多分何とか読んだと思う。
「犬神家の一族」「悪魔の手毬歌」
「八つ墓村」「獄門島」「女王蜂」・・・。
めちゃめちゃ面白かったし、その
おどろおどろしい横溝ワールドに
どっぷりはまってしまっていた。
十代の女子はわりと、この
おどろおどろしさが好きだったと思う。
テレビでは、古谷一行さんの金田一耕助
シリーズが放送され、夢中で視ていた。

横溝正史と言ったら=探偵・金田一耕助
というイメージが強かったので、先日から
ドラマ放送されていた「由利麟太郎」は
多分初めて知ったと思う。
金田一耕助の前に横溝正史が創り上げた
スマートでスタイリッシュな探偵。

そして、最近になって横溝正史が時代劇で
ミステリー小説を描いていたことを知った。
(由利麟太郎ドラマ化で〇十年ぶりに
横溝作品を探していたら出会った。)

腕利きの岡っ引きを父に持つ佐七は、
かなりの美形で女性にもてた。
父が死んでからは、ぶらぶらしていたが、
羽子板になるくらいに美しい3人の
江戸小町たちが狙われ、殺害されると
いう事件の犯人を導き出したことから
江戸で起こる事件を次々と解決してゆく。

顔良し、度胸あり、さらに明晰な頭脳と
推理力で、颯爽と事件を解決してゆく佐七。

その過程で、運命の人との出会い、
さらに信頼できる子分たちと出会い、
佐七は、江戸の岡っ引きとして成長してゆく。

粋な江戸の町を舞台に繰り広げられる事件は、
横溝正史だけが描ける独特の世界観が
読者を惹きつけていると思う。

そしてこの短編集は、人形佐七捕物帳の
中でも特に厳選された作品が収録されている。

『人形佐七捕物帳傑作選』
著者:横溝正史/縄田一男編
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥800(税別)