心霊探偵八雲、高校生時代の事件を描く「青の呪い」

神永学さんの「心霊探偵八雲 青の呪い」
を読みました。

大好きな八雲シリーズ。斉藤八雲が
高校時代に出会った悲しい事件を
描いた作品。
主人公の男子生徒との交流がとても温かい。

早朝の学校の美術室で、顧問の教師が
変死体で発見される。

第一発見者は、人の声が色づいて見える
という共感覚を持った、青山琢海だった。

この事件は、10年前に亡くなった
少女が自分の血で描いたという呪われた
絵が関係しているのではないかと疑われた。
その絵を見たものは呪われるという伝説。

美術部の幽霊部員だった琢海は、数日前に
青い色の声を持つ先輩の女子部員・真希
から一緒に「呪われた絵」の調査をしょうと
持ち掛けられたばかりだった。

両親を交通事故で亡くした琢海の心を救ったのは、
真希だった。琢海は真希が事件に関係してる
のではと疑う。
しかし、琢海は警察に事情を聴かれても
真希のことを庇い続ける。

そんな琢海の前に、孤高のクラスメート・
斉藤八雲が現れる。
琢海を目の敵にするクラスメートともめごと
を起こしたとき琢海を助けたり、
美術部顧問の教師が殺された事件では、
琢海に謎めいた言葉をかけたりする。
そして彼の冷えた眼で見つめられると
琢海は心の底を覗かれたような気になり、
苦手だと感じていた。

琢海が真希のことで思い悩んでいる時、
事件が起こる・・・。

両親を喪い、妹を守る決意をする琢海。
その思いが強すぎるのか、彼の行動は
裏目に出てしまう。
それを指摘する八雲だったが・・・。

心霊現象とミステリーが緻密に絡みあい
ながら物語が進む。
その展開のうまさに引き込まれ
イッキに読まされた。

さらに、苦悩しながら特殊能力に
向き合う琢海と八雲の頑なな姿は読んで
いると切なくなる。
同じ境遇の二人は、事件を超えお互いに
歩みよってゆく過程がなんとなく嬉しくなった。
高校生の八雲が少しだけ自分の心の奥底に
あるものを琢海にぶつけるシーンが心に残った。

『青の呪い 心霊探偵八雲』
著者:神永学
出版社:講談社
価格:¥990(本体¥900+税)

料理も謎解きも一級品!シリーズ第3弾「マカロンはマカロン」

テレビドラマ「シェフは名探偵」があまりにも
良かったので、その原作である、近藤史恵さんの
ビストロシリーズ第3弾「マカロンはマカロン」
を読みました。

商店街の小さなフレンチ・レストラン
「ビストロ・パ・マル」は気取らない
本当にフランス料理が好きな客の心と
舌をつかんで離さない。
シェフの三舟は、無口でちょっとぶっきら棒。
髪を後ろで束ね、髭がなかなか特徴的。
外国人に言わせると「サムライ」だ。
そんなシェフの特技はなんと、謎解き!?
シェフを慕うスーシェフの志村。
ワイン好きが高じてソムリエになった
紅一点・金子、そしてギャルソンの高築。

・コウノトリが運ぶもの
フランス料理と和解したい・・・と
「パ・マル」にやってきた、自然食品を
扱うお店の女性店長。
なにやら理由がありそう。
シェフの三舟は静かに彼女の話に耳を
傾ける。

・青い果実のタルト
ある日、パ・マルに来店したお客さんから
ブルーベリーのタルトを注文された。
パ・マルは、そのタルトは焼いていない。
不思議に思ったスーシェフの志村が
SNSを見ると、パ・マルのブルーベリーの
タルトがおいしいとブログに写真つきで
掲載されていた。
店を間違えたのか・・・?心をざわつかせる結末が。

・共犯のピエ・ド・コション
常連の女性客が、再婚することに。
思春期の息子も相手の男性にすっかり
なついているらしい。
ある日3人でパ・マルにやってきた。
豚肉が嫌いな息子が豚足のガレットを注文した。
その理由が、めちゃめちゃ微笑ましい。

・追憶のブーダン・ノワール
ブーダン・ノワールは、豚の血で作るソーセージ。
男性常連客が、ある日婚約者を連れて来店した。
その彼女にブータン・ノワールを薦める。
婚約者は薦められるまま食べるが・・・。
中国人の婚約者には複雑な思いが。

・ムッシュ・パピヨンに伝言を
ある日、おしゃれな大学教授がランチ終了
間際に来店してきた。
ランチを堪能した大学教授。
厨房でプラリーヌ入りブリオッシュの
話をずっと聞いていたようだ。
そこから彼のパリ留学時代の話に
及んだ。悲しい別れ話・・・。
三舟シェフはあることに気づく。

・マカロンはマカロン
美しい女性が二人連れでやってきた。
マダムっぽい女性と背が高くモデルのように
美しい女性。マダムに話を聞くと、女性だけで
営業するレストランをオープンするらしい。
食事が終わり、二人は気持ちよく帰っていった。
ところが数日後、マダムが困り顔で
やってきた。先日の女性と連絡がつかないらしい。
「マカロンはマカロン」という謎の言葉を残していた。

・タルタルステーキの罠
生肉を使うステーキ料理「タルタルステーキ」
を当日のメニューに載せて欲しいと
奇妙な予約が入った。
そしてその日、3人の女性が来店してきた。
一人は妊婦。三舟シェフはハッとする!

・ヴィンテージワインと友情
二十代のグループの中の女性が食事終わりに
ワインの持ち込みが出来るのか聞いてきた。
持ち込み料は一人1,000円。
納得して帰っていった予約の日、ヴィンテージ
ワインを6本持った女性がやってきた。
友人の誕生日だから奮発したらしい。
その日その友人たちがやってきた。
しかし、ワインを持ち込んだ女性がまだきていない。
そして、ギャルソンたちは、いや~なシーンを目撃
することに!

シリーズ第3弾もシェフの気づきにハッとする。
途中でもしかしてこんな展開?と読めたりするが、
その予想をはるかに超える驚き。

家族の話、恋の悩み、複雑な思い。
心に響く感動するエピソードもあれば、
気づきたくなかったと心がざわめく展開もある。

特に女性の「闇」が垣間見られるエピソードは
ちょっと怖い。

それでも、今回も何度でも読み返したくなる。
そんなお話が多くて癒された。

続きは出るのかな~。期待大。

『マカロンはマカロン』
著者:近藤史恵
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
価格:¥792(本体¥720+別)

読み終わると幸せな気持ちになる「ヴァン・ショーをあなたに」

テレビドラマ「シェフは名探偵」があまりにも
良かったので、その原作である、近藤史恵さんの
「ヴァン・ショーをあなたに」を読みました。

とても素敵なお話ばかり・・・。

商店街の小さなフレン・チレストラン
「ビストロ・パ・マル」は気取らない
本当にフランス料理が好きな客の心と
舌をつかんで離さない。
シェフの三舟は、無口でちょっとぶっきら棒。
髪を後ろで束ね、髭がなかなか特徴的。
外国人に言わせると「サムライ」だ。
そんなシェフの特技はなんと、謎解き!?
シェフを慕うスーシェフの志村。
ワイン好きが高じてソムリエになった
紅一点・金子、そしてギャルソンの高築
この4人でお店をまわしている。

●錆びないスキレット
めずらしくシェフと志村が言い争っていた。
原因は、シェフが野良猫に餌付けをしたこと。
幸いにも常連のお客さんに引き取ってもらった。
その代わり、常連さんのスキレットの手入れを
することに・・・。
ある日、引き取られていった猫が同居している
猫と一緒にまたしてもパ・マルに現れた。
2匹の猫の首にはなぜか干し魚の入った袋が
つけられていた。誰が、、何のために?
その真相があまりにも切ない。

●憂さ晴らしのピストゥ
ベジタリアンのお客さんから予約が
入った。結構難題だが、三舟シェフは工夫に
工夫を重ねて出している。
ある日、三舟シェフの元同僚だった
男が店にやってきた。
男の店で彼が作るソースには秘密があった。
それはいったい・・・。

●ブーランジュリーのメロンパン
「ビストロ・パ・マル」のオーナーが
今度は女性二人が作るパン屋を出すという。
軽食も置きたいというパン屋の女性たちは
三舟シェフの料理レシピを習得にやってきた。
こだわりのパンを置きたいと言う女性店長。
「メロンパン」みたいな甘いパンもという
アドバイスを女性店長は頑なに拒否。
何か事情があるようだ・・・・。

●マドモアゼル・ブイヤベースにご用心
常連客の中に、三舟シェフの好きな人が
いるらしい。
いつもブイヤベースをオーダーする、
ニックネームは、「マドモアゼル・ブイヤベース」。
ある日、その女性から予約が入った。
どうも男性連れらしい。
どうする!?金子と高築はヒヤヒヤものだ・・・。
ところが思わぬ展開が待っていた。

●氷姫
ある男性の告白から始まる物語。
それはとてもつらい失恋の物語。
心も体もボロボロになり、パ・マルに
やってきた。結婚するはずだった
彼女はなぜ出て行ったのか?
三舟シェフは、男性の苦悩に心を寄せる。

●天空の泉
ある女性が回想する、若き三舟シェフとの
旅先でのエピソード。
そのたった一度の触れ合いが彼女の
運命を動かす。

●ヴァン・ショーをあなたに
若き三舟シェフの修業時代のエピソード
第2弾。マルシェでとてもおいしい
「ヴァン・ショー」(ホットワイン)
を飲ませてくれるミリアムおばあちゃん。
ところがある時から「ヴァン・ショー」
を作らなくなった。
それは何故なのか・・・?

「タルト・タタンの夢」の第2弾。
謎を解く鍵は料理の中に隠されていて、
三舟シェフがお客さんの話を聞くことで
その謎を解き明かす。

解き明かされた真相に、時に驚き、その想いに
切なくなり、胸がキュンとなる。

そして、シェフが出す料理が、傷ついた心を癒してゆく・・・。

今作では、三舟シェフの修業時代も
描かれる。その意外な一面にほっこりする。

この素敵な物語の数々に、はまってしまった。
何度でも読みたくなる。
何度でも癒されたい。

傑作!フランス料理×ミステリー。

『ヴァン・ショーをあなたに』
著者:近藤史恵
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
価格:¥770(本体¥700+別)

美味しくて、ほっこりする「タルト・タタンの夢」

テレビドラマ「シェフは名探偵」があまりにも
良かったので、その原作である、近藤史恵さんの
「タルト・タタンの夢」を読みました。

読んでる途中も読み終わってもとっても
幸せな気分に浸れる、そんな作品でした。

商店街の小さなフレン・チレストラン
「ビストロ・パ・マル」は気取らない
本当にフランス料理が好きな客の心と
舌をつかんで離さない。
シェフの三舟は、無口でちょっとぶっきら棒。
髪を後ろで束ね、髭がなかなか特徴的。
外国人に言わせると「サムライ」だ。
そんなシェフの特技はなんと、謎解き!?

●タルト・タタンの夢
小劇団の人気女優が結婚のため、引退を
決めた。彼女の婚約者は「ビストロ・パ・マル」
の常連。ある日体調が悪いにも関わらず、
接待のため店にやってきた。
そんな中、店の様子をうかがう一人の
女性がいた・・・。

●ロニョン・ド・ヴォ―の決意
極度の偏食がある男性常連客。彼からの予約
が入るとシェフほかスタッフみな緊張する。
予約の日、女性を連れ立ってやってきた。
偏食の彼が注文したのは超癖のある
「ロニョン・ド・ヴォ―」。絶句するシェフ。
しかし皆の心配をよそに結構気に入ったようだ。
閉店後、彼の連れの女性が一人でやってきた。
シェフはそこで彼女の決意を聞くことになるが
シェフは意外な反応をする・・・。

●ガレット・デ・ロワの秘密。
「ビストロ・パ・マル」のスーシェフ
と彼の美しい妻とのエピソード。
フランスで出会った二人。あるクリスマス。
ガレットに仕込まれるべきはずのフェーブが
行方不明に・・・。
いったいどこへ行ったのか?

●理不尽な酔っ払い
店の女性常連客の連れはエッセイスト。
フランス人の彼と別れ、北海道で
エッセイを書いている。
彼との別れ話のいきさつを聞いたシェフは、
あることに気づく。

●割り切れないチョコレート
その日、ちょっと険悪ムードのカップルが。
さらに、男性の方が食事終わり、シェフに
ボン・ボン・オ・ショコラがまずいと
言い放って立ち去った。
その男性は新しくできたチョコレート店の
店長だった。クレームを受けたので
試しにその店のチョコレート買う。
チョコのセットはなぜか奇数ばかり。
後日再び例のカップルが店に訪れた・・・。

こんなミステリーがあったのかと感心した。
フランス料理×ミステリー。
料理の中に謎解きの鍵が隠されていた。
シェフはお客の話を聞くことで、
そこに秘められた思いを解き明かしてゆく。

読み進めると美味しそうなフランス料理が
次々と登場する。まるで自分も味わっている
ような感覚に陥る。

そして、シェフが解き明かした人々の思い。
それに気づかされた時、ハッとする。

読み終わった時に、温かい思いが染み込んでくる。

優しい気持ちになれる、何度でも読みたい
そんなミステリーだ。

『タルト・タタンの夢』
著者:近藤史恵
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
価格:¥770(本体¥700+別)

今回の奇跡は本物か!?「バチカン奇跡調査官天使の群れの導く処」

藤木稟さんの「バチカン奇跡調査官」
シリーズの最新刊、「天使の群れの導く処」
を読みました。

今回は、キルギスの教会で起きた
奇跡の調査を行う。
政治情勢が安定しないキルギスで
本当に奇跡は起こったのか・・・?

モスクワ発で香港へ向かうロシアの
旅客機・アエロフロート208便が
キルギス上空で突如エンジンが停止した。
乗客乗員の命を守るため、機長・副操縦士
らは様々に試みるも成す術がない。
もう墜落するという絶対絶命のピンチの中、
突如空が光り、その中から天使たちが現れる。
そして天使たちに導かれた旅客機は、
キルギス国際空港に無事着陸した。

さらに同じ夜、首都郊外のセロ・タシュと
言う小さな町の教会で、巨大なキリスト像が
ひとりでに動いたのだ。
キリスト像が向いた方角こそ、天使たちが
現れ旅客機を救った国際空港だった。

バチカンの奇跡調査官の平賀とロベルトは
その調査のため、キルギスへと向かった。

平賀はバチカンの神父でありながら
優秀な科学者だ。
彼の詳細な調査で、キリスト像が
ひとりでに動いた真相が明らかになってゆく。
しかし、旅客機の奇跡は平賀をもって
しても科学的解明に至らない。
今度こそ本当に奇跡が起こったのか!?

ロベルトは、カミッロ神父にキリスト像の
奇跡申請を勧めるが、カミッロ神父は
頑なに拒否をする。
その態度に疑念を抱くロベルト。

かたや、平賀は教会で偶然手にしたものを
シン博士に調査を依頼するが、シン博士は
危険すぎるからと怒り狂ってしまう。

二つの奇跡を結ぶあまりにも衝撃的な真相。
そして、平賀とロベルトに絶体絶命の
危機が訪れる!

今回際立ったのは、平賀が全く空気を
読まないところ。
シン博士に感謝を伝えなさいとロベルトに
注意され、素直に従うところが可愛かった。

さらに面白かったのは、キルギスの警察が
全く調査に協力してくれず、困った二人が頼った
のは、上司のサウロ大司教。
なんとサウロ大司教は、ロシア正教会
総主教を動かしてしまった。
凄い力業。さすがの警察もロシア正教会
総主教には逆らえない・・・。

平賀とロベルト、この神父コンビの
活躍は、いつも心を癒してくれる。

次回作も楽しみ!

『バチカン奇跡調査官 天使の群れの導く処』
著者:藤木稟
出版社:KADOKAWA(ホラー文庫)
価格:¥792(本体¥720+税)

バチカン奇跡調査官シリーズ、短編集第5弾「三つの謎のフーガ」

「バチカン奇跡調査官」シリーズの短編第5弾は
ミステリー作品3編が収録。
短編だけれど、長編のような読み応え!
難解な謎に挑む、人気キャラたちに思わずニヤリ。

イタリアの次期大臣と目されている
人気の国会議員、ベルージェ氏が
雑誌のインタビュー中、何者かに
狙撃され亡くなった。
多数の目撃者がいる中での殺人。
しかし、誰も狙撃者を見た者はいない。
まるで透明人間による殺人のようだった。
この不可思議な事件の謎を解明するのは
イタリア国家治安警察隊のアメデオ大佐。
しかし、アメデオに解けるはずもなく、
またしても、「あいつ」の力を借りることに。
そして、一番苦手な心理捜査官・フィオナと
ともに事件の捜査を開始した。
【透明人間殺人事件】

チャンドラ・シン博士のもとに、親族の
叔母から連絡が入った。
「夫の遺言を誰も解読できない。解読
できないと息子が相続権を失ってしまう!
知恵を貸して欲しい!」と・・・。
暗号解読と言えば、ロベルトだ。
シン博士は、ロベルトに暗号解読を依頼する。
【ダジャ・ナヤーラの遺言】

休暇を一緒にどうか?と珍しく平賀の方から
ロベルトに誘いがかかった。
そして一緒に「蜘蛛男」が出没するという
村にやってきた。
壁を這って移動したり、車に張り付いたり
と人間ではありえない動きをするという。
平賀は本当に蜘蛛男がいるのではないかと
目をキラキラさせているが・・・。
【スパイダーマンの謎】

身勝手な人間の心の闇に斬り込んだ。
超難解なミステリーあり、
また、緻密な暗号解読の過程が面白く、
さらに親族の絆と愛情の深さに感動したり、
モンスターの意外な正体に驚愕したり・・・。

バラエティに富んだミステリー。
バチカン奇跡調査官シリーズの奥深さに
心が震えた。

『バチカン奇跡調査官 三つの謎のフーガ』
著者:藤木稟
出版社:KADOKAWA(ホラー文庫)
価格:¥720(税別)

シリーズ第1作「悪魔と呼ばれた男」が面白過ぎる!

「心霊探偵八雲」シリーズが完結!
八雲ロスに陥っているファンの方々朗報です!
新シリーズ「悪魔と呼ばれた男」が
面白いんです!
絶対に読んで欲しい~。

アメリカで犯罪心理学を学び、
犯罪心理のスペシャリストとして、
警視庁に新たに設立された
特殊犯罪捜査室に呼ばれた、
天海志津香警部補。

天井から吊るされた女性の遺体。
凄惨で残忍な手口、さらに
首の裏には五芒星(ペンタグラム)
の刻印があった。
それは、ここ三年の間に起こった
猟奇殺人事件と酷似していた。
いまだ犯人の目星もつけられない。

天海は、バディとなる阿久津とともに
通称「悪魔」による連続殺人を追うことに。

阿久津は捜査一課のエースで、検挙率NO1。
しかし、謎めいた男で天海を持ってしても
彼の心を容易に読むことができない。
しかも阿久津はなぜか天海が小さい頃
体験した恐ろしい事件を知っているようだった。

次々と起こる連続殺人。
まるで警察をあざ笑うかのように猟奇的だ。
その事件の背後には国政をも揺り動かす
陰謀が潜んでいた。

時系列が入り乱れた場面展開に何度も
ハッとさせられるが、その上手さに
先へ先へと促され、いっきに読んでしまった。

また登場人物は、ほぼ、人間の面を
被った悪魔のようだ。
恐ろしい企ての数々に戦慄する。
誰が本当の悪魔なのか!?

ラストのどんでん返しは圧巻!!

シリーズ2作目「悪魔を殺した男」(講談社)
発売中。(本体価格1,750円)

『悪魔と呼ばれた男』
著者:神永学
出版社:講談社
価格:¥880(税別)

バチカン奇跡調査官シリーズ、本編第16弾「王の中の王」

大好きなバチカン奇跡調査官シリーズです。
本篇も16作目に突入!

今回の作品は、本当に神の奇跡が
起こったのでは?と思えるほど
不可思議な現象が現れます!

オランダ・ユトレヒトの小さな教会
聖ファン・クーレン教会では、カソリック
聖体祭の日は、聖遺物巡礼を行う。
協会の秘密の地下倉庫に『聖釘』が
収められている木箱が厳重に保管
されているのだ。
さらにこの年は、主の足跡の奇跡が
メディアで取り上げられ協会は
にぎわっていた。

その夜、教会で突然停電が起こった
そして、三つの光る球体が教会に
現れ、虹色に輝く光となって教会を
移動した。
その時、司祭の頭上で神の声が響いた。
それは町の未来の予言だった・・・・。

バチカンにその奇跡の申告があり、
奇跡調査官のロベルトと平賀は
現地へ飛ぶ。

二人は、光を目撃した人びとの
聞き取り調査を行った。
彼らは、天使と会った、病気が
治ったなどそれぞれ違う体験を
語った。

ロベルトは、隠し協会と言われる
聖ファン・クーレン教会の歴史を調べ、
平賀は奇跡が起こったとされる
協会の中、細部を科学的視点から
調べ尽くす。

隠し協会に伝わる至宝「王の中の王」
とはいったい何なのか?
14世紀のオランダの歴史を紐解き
ながら物語は奇跡の正体に迫ってゆく。

そして、彼らが導き出した真実とは!?

奇跡調査の行方もどうなるか気になるが、
物語の中で語られる、ヨーロッパの
歴史や宗教に関する記述がとても
興味深いです。

真実は常に歴史の中に埋もれている!?
今作も文句なく面白いです!!

『バチカン奇跡調査官 王の中の王』
著者:藤木稟
出版社:KADOKAWA(ホラー文庫)
価格:¥680(税別)

横溝正史「人形佐七捕物帳」おすすめです。

中学~高校時代は、横溝正史ブームだった。
石坂浩二さんが金田一耕助を演じた、角川映画
「犬神家の一族」のポスターのインパクトが
凄すぎて忘れられない。

学校の図書館では、探偵・金田一耕助
シリーズが人気で、本が戻ってくると
すぐに貸し出されるという繰り返しだった。

お小遣いを握って本屋に行っても売り切れ続出。
でも多分何とか読んだと思う。
「犬神家の一族」「悪魔の手毬歌」
「八つ墓村」「獄門島」「女王蜂」・・・。
めちゃめちゃ面白かったし、その
おどろおどろしい横溝ワールドに
どっぷりはまってしまっていた。
十代の女子はわりと、この
おどろおどろしさが好きだったと思う。
テレビでは、古谷一行さんの金田一耕助
シリーズが放送され、夢中で視ていた。

横溝正史と言ったら=探偵・金田一耕助
というイメージが強かったので、先日から
ドラマ放送されていた「由利麟太郎」は
多分初めて知ったと思う。
金田一耕助の前に横溝正史が創り上げた
スマートでスタイリッシュな探偵。

そして、最近になって横溝正史が時代劇で
ミステリー小説を描いていたことを知った。
(由利麟太郎ドラマ化で〇十年ぶりに
横溝作品を探していたら出会った。)

腕利きの岡っ引きを父に持つ佐七は、
かなりの美形で女性にもてた。
父が死んでからは、ぶらぶらしていたが、
羽子板になるくらいに美しい3人の
江戸小町たちが狙われ、殺害されると
いう事件の犯人を導き出したことから
江戸で起こる事件を次々と解決してゆく。

顔良し、度胸あり、さらに明晰な頭脳と
推理力で、颯爽と事件を解決してゆく佐七。

その過程で、運命の人との出会い、
さらに信頼できる子分たちと出会い、
佐七は、江戸の岡っ引きとして成長してゆく。

粋な江戸の町を舞台に繰り広げられる事件は、
横溝正史だけが描ける独特の世界観が
読者を惹きつけていると思う。

そしてこの短編集は、人形佐七捕物帳の
中でも特に厳選された作品が収録されている。

『人形佐七捕物帳傑作選』
著者:横溝正史/縄田一男編
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥800(税別)

バチカン奇跡調査官シリーズ、短編集第4弾「天使と堕天使の交差点」

大好きなバチカン奇跡調査官シリーズです。
短編集もなんと第4弾!!
いつものロベルト&平賀、ほかにチャンドラ・シン博士、
ビル・サスキンス捜査官、そして青年司祭・ジュリア
が登場します!

イタリアの宝石店に現れる、処刑された女性・
ベアトリーチェの幽霊を払うためエクソシストを呼んだ店主。
バチカンの神父・ロベルトと名乗ったが
それは偽ロベルトだった。その汚名を晴らすべく、
平賀とロベルトは、宝石店に向かう。
そして二人はベアトリーチェと思われる霊と遭遇
するが・・・・?

ロベルトと平賀、またバチカンを翻弄する、
美貌の青年司祭・ジュリア。彼は上司である
ルッジェリのために豪奢な宴を催す。
しかし、その宴に出された豪華な食事には
恐るべき秘密が隠されていた・・・。
神をも恐れぬ、ジュリアの奸計に絶句する!

FBI捜査官ビル・サスキンスの前に現れたのは
美しき秘密工作員、エリザベート。
彼女は、ウオーカー博士が追う陰謀にビルの両親が
関与していると疑い、さらにFBIに巣食う
イルミナティの動向を探るため、ビルに接触を試みた。
しかし・・・・!二人はどうなる・・・!?

チャンドラ・シン博士は、熱心なジャイナ教徒だ。
ジャイナ教で最も守らなければいけないことは
非暴力・不殺生である。
ある日シン博士は、仕事中のうっかりで、ねずみに
怪我を負わせてしまう。パニックに陥ったシン博士。
彼が助けを請うたのは、ロベルト・ニコラス神父だった。
いつもクールで感情を読み取れないシン博士。
しかし、博士の人間的魅力がたっぷり味わえる一編。

今回は、偽ロベルト事件から端を発した幽霊騒ぎや
チャンドラ・シン博士の意外な一面、ビル捜査官の
近況、そして天使の貌をした悪魔・ジュリアの
恐るべき所業が描かれる・・・。

ユーモアとシリアスとホラーがミックスされた
極上の短編4編が収録!
文句なく面白いです!!

『バチカン奇跡調査官 天使と堕天使の交差点』
著者:藤木稟
出版社:KADOKAWA(ホラー文庫)
価格:¥640(税別)