面白すぎる!「エアー2.0」

「巡査長真行寺弘道」シリーズの著者、
榎本憲男さんの「エアー2.0」を読みました。

東京オリンピック開催の2020年が舞台!
著者が予想した2020年はこうなっている?
近未来的経済サスペンス。
真行寺弘道を読んで、いつも凄いと思って
いたけれど、「エアー2.0」も発想が凄すぎて
面白すぎる!

中谷は、新国立競技場の建設現場で、
不思議な老人と出会う。
誰が見てもとても肉体労働が似合うよう
には見えず、なぜこんなところにいるのか
理解に苦しんだ。
やがて老人は首になるが、辞める直前に
大穴馬券を中谷に託した。

そして、老人が辞めた直後に建設現場では
爆発が起こり、馬券は見事に大当たり!

大金は手にしたが、その大穴馬券のバックには
ヤクザがついており、中谷はヤクザに
追われることに!
無事に逃げ切った中谷の前に老人が現れる。

老人が開発した「エアー」。
世の中の空気を読んで数値化し、完璧な
市場予測を可能にするシステム。
そのシステムは国家予算を潤すほどの巨額な
利益をもたらすものだった。
やがて、中谷は老人の壮大な計画に取り込まれてゆく。

大穴馬券が的中したからくり、
不思議な老人とはいったい何者なのか?
そして、老人はこの日本で何をしようとしているのか?
数々の謎を提示しつつ、物語は進む。

それと同時に、破綻しつつある資本主義に
ついて、経済に詳しくない者でさえきちんと
わかるように解説がなされてゆく。

さらに、日本政治の内幕にも鋭く斬り込んでいる!

老人の壮大な計画とは・・・?
エアーシステムの導入で新たな経済システムが
構築されるのか?

読んでいると、ワクワクするような過程が描かれる。
本当にこんなことは可能なのだろうか?
エアーがきちんと稼働すれば、綱渡り状態の
経済システムから脱却できるのではないか?

様々なことを考えさせられ、今回も学ぶことが多かった。

破格の面白さで描かれた、経済小説。

『エアー2.0』
著者:榎本憲男
出版社:小学館(文庫)
価格:¥770(税別)