人間の顔をしたモンスターを描く!戦慄のサスペンス『悪の教典』

2年前のこ‘のミステリーがすごい’国内編で第1位となり、メディアでも数多く取り上げられた、戦慄のサイコサスペンスホラーの傑作!貴志裕介著『悪の教典』(文藝春秋)が文庫化されました。
しかも!映画化!誰がこの悪魔のような人間を演じるのか!?

ある高校の英語教師・蓮実聖司は、明るく親しみやすい性格、しかもハンサム。
生徒たちからは‘はすみん’と呼ばれるほど人気がある教師。
担当教科の英語の授業は、生徒のために工夫を凝らし楽しい授業で生徒を飽きさせない。
また、生活指導の担当者として生徒の悩みにも親身なって応え、生徒の親、同僚の教師、さらには教頭、校長からの信頼も絶大だ。

だが、それは蓮実のうわべだけの姿だった・・・・。
彼の本性は、精神的に大きな欠陥を持つ、(他者への共感能力が欠如した)サイコパスだった。
子供のころから非常に頭が良かった蓮実は、これまでにも自分に障害となる人物を排除してきたのだ。
彼を慕う生徒が多い中、蓮実の完璧すぎる性質に違和感を抱く生徒がいた。
それを知った蓮実は、学園祭の準備で居残る生徒たちを殺戮する計画をたてる・・・。

上巻では、学校の諸問題、いまどきの高校生の実態もリアルに描かれている。
そして完璧なまでに模範教師をこなす蓮実が描かれつつ、徐々にモンスターの本性を現していく過程が、微妙な加減で描かれていて読み手の好奇心をくすぐっている。

下巻では、今までの模範教師がモンスターに変貌し、生徒たちを次々に殺戮していく。

ぶっ壊れた心、身勝手な理屈、ありえない結末!!
ここまで描けるのか!?というところまで描かれ、読み出したらとまらない。
サイコパスの恐ろしさを徹底的に描いた、サイコサスペンスホラーの傑作。

『悪の教典 上下』
著者: 貴志祐介
出版社:文藝春秋
価格:上下各¥695(税別)