探偵・槙野&女性刑事東條シリーズ最新作にして最高傑作!『MEMORY 螺旋の記憶』

島根県在住のミステリー作家・吉田恭教さんの
人気シリーズ『探偵・槙野&女性刑事東條』
の新作が発売になりました!
『MEMORY 螺旋の記憶』です。

探偵・槙野と警視庁捜査一課の刑事、東條は
お互いに信頼し合い、絡み合った事件の
謎をといてゆく。
探偵と刑事ってなかなか難しい関係だと
思うが、二人のやりとりを読んで
いると何となく安心する。
また、槙野と妻のかけあいは、
凄惨な事件が多いこのシリーズの中で
一種の清涼剤のような役割を果たして
いて、二人が登場するシーンは読んで
いると心が癒れる。

九年前、鏡探偵事務所に奇妙な捜索
依頼をしてきた女性が、再び新たな
調査を依頼してきた。
失踪した息子を探して欲しい。
息子の失踪は前回の調査が関係
している。と・・・。

槙野は、当時の調査記録をもとに
息子の行方を捜す。
ところが、九年前に調査で訪ねた人物は
二年前に塩素ガスで殺害されていることが
判明する。

一方、東條刑事は、奥多摩の山中で
発見された凄惨な逆さ吊り殺人事件を
捜査中だった。
たまたま、その身元判明の報道を見ていた
槙野は、被害者が九年前に調査した案件の
関係者であることを教える。

依頼された息子の行方を捜す槙野は、
彼がホラー作家であること、
退行催眠療法について熱心に調べて
いたことを掴む。
そして槙野は、退行催眠療法の本の
著者を訪ねることに・・・。

だが、そのタイミングでまたしても
逆さ吊り殺人事件が起こる。
身元が判明すると、最初の被害者との
繋がりが出てきた。
殺害された二人は、もとは同じ酒蔵で
働いていたのだ!

槙野の調査と、東條が追う凄惨な連続殺人事件。
二つの調査はやがて交差してくるが、
それらが複雑に絡み合い、謎は深まるばかりだ。
いったい事件の裏には何があるのか?

このシリーズは、今までホラー的
要素がふんだんに盛り込まれてきたが、
今回はそうではない。
ホラーというよりは神秘の世界・・・・。

槙野は、調査の過程で信じがたい
事実を掴む。
それはやがて、前代未聞の真相に
繋がってゆく。

槙野と東條、二つの事件の調査から
徐々に真相に近づいてゆく過程は
いつもながら非常に面白い。

シリーズは、どの作品も大変面白いが、
自分としてはこの作品が今のところ
一番だと思う。
時を超越し、大切な人を想い続ける
ラストは胸に迫るものがあったから。

『MEMORY 螺旋の記憶』
著者:吉田恭教
出版社:南雲堂
価格:¥1,800(税別)