本格ミステリーファン垂涎!『楽園とは探偵の不在なり』

ミステリーファンがこぞって面白い!
と紹介している、斜線堂有紀さんの
「楽園とは探偵の不在なり」を
読みました。

あまりにも斬新過ぎる設定に
驚愕しました!!!

ある時起こった「降臨」によって
世界は塗り替えられた・・・・。

二人以上殺した者は、「天使」
によって即座に地獄に引きずり
込まれる!

探偵業を営む青岸焦(あおぎしこがれ)は、
「天国が存在するか知りたくないか?」
という大富豪・常木王凱(つねきおうがい)
に誘われ、天使が集まる常世島を訪れた。

そこには、青岸以外にも常木に
よって招かれた客がいた。
そして、その島で起きるはずのない
連続殺人事件が起こってしまう!
殺人事件の巻き添えになりたくない
客たちは何とか脱出を試みるが、
外部との連絡手段は一切遮断されていた。

青岸はかつて、家族のように大切に
していた、探偵事務所の仲間を突如喪った。
なぜ、何も悪いことをしていない
彼らがあっけなく死んでしまうのか?
天使は、彼らを助けることなく
罪を犯した者だけを業火で焼いた。

そんな不条理に満ちた世界で、生きる
希望を失った青岸だったが、孤島での
連続殺人事件の調査を始める。
しかし、殺人は容赦なく続いた。

犯人の目的は何か?
連続殺人を犯しながら、なぜ地獄に
堕ちないのか?

およそ天使らしくない不気味な
物体が空を飛ぶ。
その様子は、塗り替えられた世界が
益々不条理なものとして映る。

罪と罰についての考察も物語の中で
語られ、非常に興味深い。

しかし、それ以上に驚愕するのは、
天使が当り前のように空を徘徊し
人間の罪を断罪するという斬新すぎる設定。

孤島での連続殺人という古典的な
展開が、その斬新な設定によって
驚くべきトリックを生んだ!

本格ミステリーファンにはたまらない一冊。

『楽園とは探偵の不在なり』
著者:斜線堂有紀
出版社:早川書房
価格:¥1,700(税別)