明治の警察官が活躍!シリーズ第2弾『サーベル警視庁2帝都争乱』

今野敏先生の単行本最新刊は、
明治時代の警察を描いた作品。
「サーベル警視庁2帝都争乱」。

日露戦争が終わり、国民は日本の
勝利に酔いしれた。

しかし、明治38年8月30日「時事新報」
の号外で、それまでの戦勝の喜びが
失望と怒りに変わっていった・・・。

それは、外務大臣の小村寿太郎全権大使が
ポーツマスで交わした講和条約で
国民の期待を裏切ったからだ。

戦争には勝利した、ところがその後の
戦いに日本は負けてしまったのだ。

国民は、怒りの矛先を桂首相に向けた。

警視庁第一部第一課・葦名警部と四人の
巡査たちは、赤坂榎坂にある桂首相の
妾宅の警備を担当することになった。

暴徒が桂の妾宅に近づきつつあった。

そして、9月5日「講和問題国民大会」
が日比谷公園で開かれた。興奮した
暴徒たちにより、日比谷焼打事件が
起こってしまう!

桂首相の愛人は危険を察知し、屋敷から逃れた。
その後、暴徒たちが乱入!屋敷を破壊しつくし逃走。

警官らとともに妾宅の警護をしていた、
伯爵の孫で探偵の西小路が屋敷に
足を踏み入れると、男の刺殺体が転がっていた。

混乱に乗じた事故死なのか?それとも殺人事件か?
赤坂署は焼打事件に巻き込まれての死として
片付けようとするが、葦名警部たちは
殺人事件の疑いがあるとして、捜査を開始する。

明治時代に本当に起こった事件を背景に
殺人事件の謎を提示。
首相の妾宅で誰が何のために殺人を犯したのか?

元新選組の斎藤一、作家の黒猫先生(夏目漱石?)
など実在の人物を架空の人物に絡ませ捜査をすすめる
過程が非常に面白い!

また、桂首相の愛人・お鯉のきっぷの良さ
にスカッとする!

さらに、政界・財界で暗躍する者たちの
姿もリアルに描かれていて、明治という
時代のあり様がまざまざと伝わってくる。

明治時代を知ることのできる作品でもある。

第3弾が待ち遠しい!

『サーベル警視庁2 帝都争乱』
著者:今野敏
出版社:角川春樹事務所
価格:¥1,600(税別)