日常が非日常に変わる怖さ・・・。「非日常の謎ミステリアンソロジー」

「非日常の謎」講談社タイガ文庫

読み応えたっぷりのミステリ短編集。
今注目の作家さんたちの意欲溢れる作品ばかり。

【十四時間の空の旅】 辻堂ゆめ
16歳の誕生日に、アメリカから一人日本に帰国
することなったエリカ。「嬉しいのか寂しいのか、
どっちなんだろう?」と心がざわめく。
不安な気持ちを抱えたまま、飛行機に搭乗すると
怪しい男が・・・・。
揺れ動く少女の心が胸に刺さる。

【表面張力】凪良ゆう
寺の住職の妻としてテキパキと働く母。
その二人の息子たち、そしてその妻たちの
母に対する危険な心理が交差する。
そのギリギリ加減。【表面張力】という
表現がまさにピッタリ!!

【これは運命ではない】城平京
「虚構推理」シリーズの桜川九郎が後輩の
悩みを受け止める。
ある女性との出会いは偶然か?故意か?
様々な推理を披露する桜川九郎。
後輩が何を言っても納得できる答えを出す
桜川九郎が凄い!

【どっち?】木元哉多
妻の親友と不倫した夫。妻の出産が
近づいて、不倫を清算したいと願うが、
不倫相手は納得せず、夫は窮地に陥いる。
しかし・・・・。
女性の恐さが浮き彫りにされる。一番怖かった。

【成人式とタイムカプセル】阿津川辰海
兄に対抗心むき出しの弟が、兄のまねをして
タイムカプセルを埋めた。
それから10年。埋めた場所を堀かえすと
何も入っていなかった・・・・。
いったいどういうこと?
たった一人の女友達と真相を探る。
愚かだった自分と向き合う青年。そして友達の
心遣いにホッとする。

【この世界には間違いが七つある】芦沢央
見られているあいだは決して動いてはならない
というルールのもと、監禁された人たちの心が
は壊れてゆく・・・。
衝撃的展開で読者を魅了する著者。
この作品では「間違い探し」で読者に挑戦する!
再読必至の傑作!

『非日常の謎 ミステリアンソロジー』
著者:芦沢央/阿津川辰海/木元哉多/城平京/辻堂ゆめ/凪良ゆう
出版社:講談社(タイガ文庫)
価格:¥726(本体¥660+税)