この世に未練を残した霊の心を癒す「霊視刑事 夕雨子2」

青柳碧人さんの「霊視刑事 夕雨子1」
があまりにも良かったので、第2弾
「霊視刑事 夕雨子2 雨空の鎮魂歌」を
読みました。

事件や事故に巻き込まれ、この世に心が
残ってしまい、成仏できない人たちの霊を
癒す物語。

中野署の刑事、大崎夕雨子は、小さいころから
この世に未練を残す霊と会話が出来るという
特別な能力があったが、祖母からもらった
色あせたストールを巻いている時だけは
霊の気配は感じられないでいた。

刑事課に配属された夕雨子の相棒は、
本庁の捜査一課から異動になった、
辣腕女性刑事・野島友梨香。

日本語学校の校長が殺害された現場で、
死んだ校長本人から犯人の名前を
聞いた夕雨子。しかし、別の霊が
それを否定する!
「アリガトウという言葉」

自己肯定感の低い漫画家が事故死した。
その現場で本人から事情を聞いた
夕雨子。両親との確執、売れない
漫画。自分なんて・・・・
そんな彼女の心を救おうと必死に
彼女の願いを果たそうとする。
「涙目のさよなリーヌ」

ある日、署長から呼ばれた夕雨子と
野島。必ずエレベーターを使って
署長室へ来いと、妙な注文をつけられる。
そしてエレベーターに乗ったとたん
男の霊が二人の前に現れる。
そして、「俺の名前を思い出せ」
思い出さなければ、ずっと閉じ込める
と脅される。この男、一体誰?
「俺の名は。」

上司から、女性が行方不明になった
と知らされる。その女性は野島が左遷
されるきっかけとなった因縁の事件の
関係者だった。上司から二人はこの
事件に首を突っ込むなと釘をさされるが。
「ハチミツの雨は流してくれない」

「俺の名は。」での野島の手柄話が
ユーモアたっぷりに描かれていて面白い。
最終話の「ハチミツ~」は、絡みに絡んだ
事件の真相を、野島が解きほぐしてゆく。
その真相があまりにも残酷。
野島の相棒の死の真相も明らかになる。

予想だにしない犯人像、衝撃的結末。
心優しい霊たちに助けられる二人。
癒し、そして癒される。
このシリーズが大好きだ。

また、夕雨子は幼い頃行方不明になった
親友・公佳を探し出すまであきらめない。

夕雨子の霊視と野島の行動力と鋭い
推理力で難事件に挑むシリーズ第2弾
とても面白かった。

『霊視刑事 夕雨子2 雨空の鎮魂歌』
著者:青柳碧人
出版社:講談社(文庫)
価格:¥748(¥680+税)