家族を襲った悲劇の結末は!?『雷神』

道尾秀介さんの「雷神」を読みました。
「雷神」は、「龍神の雨」「風神の手」
など、「神」シリーズ三部作完結編。

優しい父母、仲の良い姉弟の4人家族。
どこにでもいる、善良で普通の家族。
しかし、母を襲った事件が家族を
不幸のどん底へ突き落す。

マンションで暮らす若き夫婦を
悲劇が襲った!
夫の目の前で妻が車に跳ねられて
亡くなったのだ。その事故の原因は
幼い娘の善意だった・・・・。

それから十五年。

埼玉で父の店を継いで小料理屋を
営む藤原幸人のもとに一本の脅迫電話が
かかってきた。
恐怖にかられた幸人。
なぜあの秘密を知っている?

それは、さらなる悲劇の始まりだった。

昭和の終わり、東北の羽田上村で
小料理屋を営み、平和に暮らしていた藤原家。
しかし、ある祭りの前日母親が行方不明に。
父によって探し出されたときは意識がなく、
病院で亡くなった。
その時そばにいたのは娘の亜紗美。
弟の幸人は悲しみのあまり眠ってしまっていた。
そして、村の伝統祭「神鳴講」に出された
キノコ汁を飲んだ村の有力者4人のうち2人が
亡くなった。そして幸人の父がその事件の
疑惑の渦中に・・・。

「母の不審死」と「毒殺事件」。
幸人は姉の亜紗美と娘の夕見とともに
真相を解き明かすべく、30年の時を経て、
因習に囚われた故郷へと潜入調査を試みる。

それは、19歳の一人娘・夕見を守るためだった。

母はなぜ死んだのか。
父は本当に「罪」を犯したのか?
事件の日、姉と弟を襲った雷撃!

そして現代で起こった新たな悲劇。
その連鎖は止まらない!

ささやかな善意は悲劇に変わり、
隠された悪意は、激しい憎悪を
含んで惨劇を繰り返す。

過去の秘密と現代の秘密がクロス
したときあまりにも哀しい真相にたどり着く。

ページをめくるたびに、驚きと悲しみが交互に襲う。
止められない、驚愕の道尾マジックに翻弄された。

『雷神』
著者:道尾秀介
出版社:新潮社
価格:¥1,870(¥1,700+税)