第67回江戸川乱歩賞受賞作「老虎残夢」は傑作!

2021年、第67回江戸川乱歩賞受賞作です!
今年は2作品が受賞しました。

9月に発売された桃野雑派さんの「老虎残夢」は、
これまでの乱歩賞の概念を打ち破る斬新な
設定がいくつもあり、大変楽しんで読む
ことが出来ました。

舞台は、中国「南宋」の時代。
幼い頃に両親を失い、心に決して癒えぬ傷を抱える
蒼紫苑は、医師で武術の達人、碧眼の梁泰隆を
父と仰ぎ、師と尊敬し、女の身でありながら、
ただひたすら武術に励んでいた。

しかし、紫苑は誰にも言えぬ秘密を抱えていた。
それは、一緒に暮らす、泰隆の養女・恋華と
愛し合っているということ。

二人の恋は、破滅を意味するのだ。

泰隆は、己が体得した武術の秘儀を伝授
するため、最も信頼できる武侠三人を招いた。
その宴席では誰もが昔話に花を咲かせた。

ところが翌日悲劇が起きる!
泰隆が孤島の別邸で死んでいたのだ。
そこは、簡単にいくことが出来ない。
圧倒的な密室だった・・・・。

亡くなった泰隆以外は、紫苑。恋華、
そして泰隆が招いた3人の武侠しかいない。
泰隆を殺した犯人はこの中にいるのか!?

紫苑と恋華には秘密があり、それは殺害
動機にもなり得る。
3人の武侠にもそれぞれ何らかの秘密が
あった。しかし・・・。

彼らは事件の謎を解いてゆく・・・。
やがて、とてつもない泰隆の秘密が
明らかになる!

ロジカルに事件の謎を解き明かしてゆく
過程のワクワク感。

さらに、最強の武侠登場と武術では軽攻、
内功、外攻など、およそ想像もつかない
アクションが繰り広げられ、手に汗握る
緊張感が半端ない。

それに加えて、女性同士の恋愛(百合)
要素も加味され、今までの乱歩賞には
なかった斬新な設定に驚きの連続!

選考委員絶賛も当然だと思う!
「文句なく面白い」傑作ミステリー!

『老虎残夢』
著者:桃野雑派
出版社:講談社
価格:¥1,870(¥1,700+税)