心をざわつかせる衝撃サスペンス!「不審者」

「代償」「悪寒」など、ヒットを飛ばしている
伊岡瞬さんの文庫最新刊「不審者」を読みました。

平凡な家庭を脅かす存在。
それは何なのか?
徐々に追い込まれていくヒロインの心の
動きがリアルに描かれ、怖くなりました。

折尾里佳子は、夫と息子、そして夫の母親と
4人暮らし。
夫は、中堅食品会社に勤務、里佳子は在宅で
子供を見ながら小説などの校正を行っている。
子どもの幼稚園のママ友やバスで一緒になる
バスママ友など、ちょっとやっかいな人間
関係も時に心を乱されるが、平凡で、幸せな
毎日だった。

ところがある日、夫がサプライズで一人の客を
家に招く。
その人物は、二十年間以上行方知れずだった、
夫の兄だと言う。
義兄は起業家で、独身だと語る。
しかし、義母は息子本人だと信用していない
様子。そのせいで、里佳子は不信感を募らせる。

里佳子の心配をよそに、夫は義兄を居候させる
ことに。最初は、人見知りしていた息子も
義兄になつき始める。

それ以降、里佳子の不信感は次第に膨れあがる。
そして、里佳子の周囲で不可解な出来事が
多発するようになる。

行方不明だった義兄の登場で、平和な家庭の
均衡が崩れてゆく・・・。
その平和を守るために、義兄と対峙しようと
する里佳子だったが・・・・。

日常の平和を脅かすものへの嫌悪感の
描き方が半端なく、これでもかとヒロインを
追い詰める!

そして、義兄の正体とは?

一つの悲劇をきっかけにすべてが反転する。
その驚愕!!
怒濤のクライマックスに息を詰め、すべての
真相が明るみになったとき、思わず悲鳴の
ような声が出てしまった。

予想をはるかに覆される結末に唖然・・・。

『不審者』
著者:伊岡瞬
出版社:集英社
価格:¥836(本体¥760+税)