強烈キャラ炸裂!女性弁護士の活躍「元彼の遺言状」

2020年第19回「このミステリーがすごい大賞」受賞作
新川帆立さんの「元彼の遺言状」(宝島社文庫)読了。
発売当時から話題になっていました。
その時は読むタイミングを逸してしまい・・・。
今回のドラマ化のタイミングで読みました。

すでにドラマも視ていましたので、
脳内で剣持麗子は綾瀬はるかさん・・・。
ヒロインのイメージに凄くはまっている。
さすがです。

お金がすべてと言い切る剣持麗子は、
大手企業のクライアントを多く担当する弁護士。
クライアントの利益を最優先するために
多少強引な手を使うことも・・・・。
ところがそれが裏目に出てしまい、彼女が勤務する
ローファームからボーナスの減給を言い渡される。
納得できない麗子は啖呵をきって会社を出て行った。

怒りが収まらない麗子。大学時代の元彼・栄治に
連絡をとった。ところがその電話で栄治が亡くなった
ことを知る。あまりにも突然のことで麗子は言葉を失う。

その後、栄治の友人だと言いう男・篠田から
栄治の遺産のことで相談にのって欲しいと
依頼される。

栄治は、大手製薬会社の御曹司。次男だったが、
会社を継いでいたので、莫大な遺産が遺った。
しかし、栄治は奇妙な遺言を残していた。
その遺言のせいで、一族が困惑しているらしい。

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」
この遺言状に導かれ、麗子は一族が開く
「犯人選考会」に篠田の代理人として参加することに。

栄治の遺産を詳しく調べると、なんと数百億円も
遺産があることが発覚!

守銭奴・麗子は、その遺産の分け前をゲットするために、
依頼人を犯人に仕立てあげようと、あの手この手を使い、
さらに口八丁手八丁で一族にアピールした。
そして、手応えを得る・・・。

ところが、その遺言状が保管されている金庫が
盗まれ、さらに栄治の遺言状を管理していた
顧問弁護士が何者かによって殺害される。

「僕の全財産は僕を殺した犯人に譲る」
という斬新な設定に驚愕、困惑・・・?
被害者は殺されるって知ってるの?
と読んでる途中でモヤモヤと・・・・

しかし、物語が進むにつれ、きちんと
ミステリーの根幹である「フーダニット」、
に流れてゆくところ、面白い。
そして、何よりこの強烈なヒロインの活躍に
魅せられ、グイグイと読ませられた。

途中で麗子がクライアントから首を言い渡され、
ショックを受けるところ、妙に納得。
必要とされるから、仕事のやりがいあるので、
必要ないと言われ落ち込む麗子に共感。

ミステリーの形で、女性のお仕事に対する
気持ちもしっかり描かれ、とても面白かった。

ドラマも面白いし、続きが読みたくなった。

『元彼の遺言状』
著者:新川帆立
出版社:宝島社(文庫)
価格:¥750(¥682+税)